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過去7シーズンと今シーズン(2017/2018年シーズン)の<br />第36~第45週までのインフルエンザ推定患者数の週別推移 過去7シーズンと今シーズン(2017/2018年シーズン)の
第36~第45週までのインフルエンザ推定患者数の週別推移
 今シーズンのインフルエンザ患者発生数の増加が続いており、全国的な流行開始に時期は近付きつつあると予想されます。今後ともインフルエンザの患者発生の動向については注意が必要です。

流行のようす

 今シーズン(2017/2018年シーズン)の薬局サーベイランスコメントを開始します。薬局サーベイランスからの2017年11月6日~12日(第45週)のインフルエンザの週当たりの推定患者数は17,313であり、第42週以降4週連続して増加が続いています。前週(10月30日~11月5日:第44週)の推定患者数(14,079)よりも大幅な増加ではありませんが、全国的な流行開始の基準である「週あたり推定患者数=30,000/週」に近付きつつあり、昨シーズン(2016/2017年シーズン)ほど早くはありませんが、11月下旬かまたは12月初旬頃には基準値を超えて流行が開始となる可能性が高いと思われます。休日明けの第46週の月曜日(11月13日)の1日当りの推定患者数は5,053と今シーズンの最多を更新しています。

都道府県別情報

 各都道府県別の第45週の人口1万人当たりの1週間の推定受診者数をみると福井県、山梨県、沖縄県、鹿児島県、北海道、長崎県、大分県の順となっていて、まだ人口の密集地である大都市圏に広範囲にインフルエンザの流行が広がってきているという印象はありません。

年齢群別情報

 2017年第36週から第45週までの累積の推定患者数は83,501であり、年齢群別では5~9歳(17.3%)、30~39歳(13.0%)、0~4歳(12.8%)、40~49歳(12.3%)、10~14歳(11.1%)の順となっていて、昨シーズンの同時期と比較すると10歳未満の年齢層の割合が高くなっています。

ウイルスの型

 国立感染症研究所感染症疫学センターの病原微生物情報によると、今シーズンこれまでのインフルエンザ患者由来検体から検出されたインフルエンザウイルス(101検体解析)は、A/H3(A香港)亜型が39.6%と大半を占めており、A/H1pdm34.7%、B型25.7%の順となっています。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏