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図.RSウイルス感染症 流行の様子<br />情報元:IDWR2017年10月2日~2017年10月8日(第40週) 図.RSウイルス感染症 流行の様子
情報元:IDWR2017年10月2日~2017年10月8日(第40週)
 RSウイルス感染症の報告数は減少しつつありますが、例年の流行のピーク時に近い報告数となっています。

 RSウイルス感染症は、乳幼児の肺炎の原因の約50%、細気管支炎の50~90%を占めるとの報告もあります。また、低出生体重児や心肺系に基礎疾患や免疫不全が存在する場合は重症化のリスクは高いとされています。

全国の概況

 感染症発生動向調査IDWR速報データによると2017年10/2~10/8(第40週)は、全国の報告数は6,155件(前週は7,206件)でした。前週と比較すると14.6%の減少でした。

地域別情報

 報告数が最も多いのは大阪府(453件)、次いで福岡県(441件)、熊本県(338件)、兵庫県(323件)、東京都(279件)でした。

感染経路と予防法

 RSウイルス感染症の感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」で、発症の中心は0歳児と1歳児です。0歳児と1歳児に日常的に接する人は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、流行時期でなくても、咳などの呼吸器症状がある場合は「飛沫感染対策」としてマスクを着用して0歳児、1歳児に接することが大切です。「接触感染対策」としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗いか又はアルコール製剤による手指衛生に努めましょう。

 厚生労働省が発行する「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」によると、RSウイルス感染症の登園のめやすは「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」となっています。今回は、咳の症状がある場合の登園のめやすや、保育所における咳の対応・ケアについてお伝えするとともに、咳の症状のある感染症をピックアップして「感染しやすい期間」、「登園のめやす」をお伝えします。(以下の内容は、厚生労働省による「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」をもとに掲載しています。)

咳の時の対応

咳の症状で登園を控えるのが望ましい場合
※前日に発熱がなくても、
○夜間しばしば咳のために起きる
○喘鳴や呼吸困難がある
○呼吸が速い
○37.5℃以上の熱を伴っている
○元気がなく機嫌が悪い
○食欲がなく朝食・水分が摂れない
○少し動いただけで咳がでる

保育所における咳の対応・ケア
※発熱を伴う時、また類似の感染症が発症しているときは別室で保育をする
○水分補給をする(少量ずつ湯冷まし、お茶等頻回に。柑橘系はさける)
○咳込んだら前かがみの姿勢をとらせ背中をさすったり、軽いタッピングを行う
○乳児は立て抱きにして背中をさするか軽いタッピングを行う
○部屋の換気、湿度、温度の調整をする(気候の急激な変化をさけ特に乾燥には注意する)
○安静にし、呼吸を整えさせる(状態が落ち着いたら、保育に参加させる)
午睡(昼寝)中は上半身を高くする
○食事は消化の良い、刺激の少ないものをとらせる


医師の診断を受け、保護者が記入する登園届が望ましい感染症(一部抜粋)

RSウイルス感染症
1.感染しやすい期間:呼吸器症状のある間
2.登園のめやす:呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと

溶連菌感染症
1.感染しやすい期間:適切な抗菌薬治療を開始する前と開始後1日間
2.登園のめやす:抗菌薬内服後24~48時間経過していること


医師が記入した意見書が望ましい感染症(一部抜粋)

インフルエンザ
1.感染しやすい期間:症状が有る期間(発症前24時間から発病後3日程度までが最も感染力が強い)
2.登園のめやす:発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで(幼児(乳幼児)にあっては、3日を経過するまで)

「感染症にかかったときの登園のめやすと医師の意見書及び保護者の登園届け」について詳しく見る▼

RSウイルス感染症について詳しく見る▼

出典:厚生労働省「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏