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2012年改訂版<br />保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省)より 2012年改訂版
保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省)より
 厚生労働省が発行する「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」によるとRSウイルス感染症の登園のめやすは「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」とされています。

 RSウイルス感染症の全国の小児科定点からの報告数は、2017年8月28日~9月3日(第35週)から3週にわたり10,000人を超えていましたが、2017年9月18日~9月24日(第38週)の報告数が7,868人となり、減少しましたが、まだ患者報告数が多い状態で引き続き本格的な流行が続いています。引き続き、乳幼児の育児、保育に携わっている方は、注意が必要です。

 今回は、厚生労働省が発行する「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」から引用してRSウイルス感染症の詳細情報をお伝えします。

感染経路

 飛沫および接触感染によって感染が拡がります。RSウイルス感染症は2歳以上の園児がかかると、咳、鼻水が続く程度で元気に保育所へ通っている場合があります。その場合RSウイルス感染症と気付かず急速に感染が拡大してしまうことがあります。年長児には咳エチケットを徹底させます。

感染した時の症状と治療

○ 初感染時:4~6日の潜伏期の後に発熱、咳、鼻水などで発症し、多くは1週間程度で回復します。保育所へ通う園児たちは1歳までにほとんどが初感染を経験します。

 その初感染乳児の30%程度で発症から2~3日のうちに咳がひどくなり食欲がなくなり、喘鳴、呼吸困難症状が出現し、細気管支炎や肺炎に陥る例があります。特に3か月未満児では高率に重症化をきたし、特別な治療法がないことから、呼吸管理が必要となり入院する場合が多くあります。

○ 再感染時:2歳以上では、再感染のことが多く多くは発熱、咳、鼻水などで発症し1週間程度で回復する場合が多いとされています。家族内で1人でも発症すれば、他の人も全員かかっていると考え、咳エチケットを守り乳児への接触を避け、感染機会を極力減らすようにします。

保育所における具体的な感染拡大防止策

○RSウイルス感染症について正しい知識を普及させます。

○感染症情報には絶えず注意を怠らず、流行状況を把握しておくようにします。

○2歳未満児と2歳以上児のクラスは構造的に分離(隔離)出来るようにしておき、お互いの交流は制限できるようにしておき、RSウイルス感染症の流行期には交流を遮断します。

○飛沫感染対策として咳エチケットを徹底します。
(職員、特に0・1歳児担当職員や保護者にも徹底します)

○接触感染対策の基本である手洗い等の手指衛生を図ります。

○保育環境を清潔に保ちます。
(環境や物品の消毒には塩素系消毒剤やアルコールを用いる)

※「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省)」より引用

RSウイルス感染症の登園のめやすは、「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」とされています。


RSウイルス感染症は、保護者による登園届の提出

 保育所は、乳幼児が集団で長時間生活を共にする場です。感染症の集団での発症や流行をできるだけ防ぐことはもちろん、一人ひとりの子どもが一日快適に生活できることが大切です。

 保育所入所児がよくかかる感染症(溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、手足口病、伝染性紅斑、ウイルス性胃腸炎、ヘルパンギーナ、RSウイルス感染症、帯状疱疹、突発性発しん)については、登園のめやすがあります。それを参考に、かかりつけの医師の診断に従い、登園届けの提出をお願いします。なお、保育所での集団生活に適応できる状態に回復してから登園するよう、ご配慮ください。

※「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省)」より引用

速やかにかかりつけ医へ行く症状

・息がゼイゼイと呼吸が苦しそうになる

・咳で何回も夜中に起きる

・熱が下がっても症状が改善されない

・咳込んで嘔吐してしまう

RSウイルス感染症について詳しく見る▼

引用:厚生労働省「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏