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手足口病は報告数の増加が続いており、特に西日本では本格的な流行となっている地域が少なくありません。
今後、東日本にも流行は拡大し、全国的な流行となっていくものと予想されます。
おおむね軽症な経過をたどる感染症ですが、まれに髄膜炎などの中枢神経系への合併症をきたす場合があります。
特に乳幼児の育児、保育に携わっている方々は注意してください。
地域別情報
2017年第22週(5/29~6/4)の速報データによると、定点当たり報告数が最も多いのは佐賀県、次いで宮崎県、香川県、京都府、広島県の順となっています。症状
従来のCA16およびEV71による手足口病では、3~3日間の潜伏期間の後に、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2~3mmの水疱性発疹が出現してきます。発熱は約3分の1に認められますが軽度であり、高熱が続くことは通常はありません。通常は3~7日の経過で軽快し、水疱の跡が痂皮(かさぶた)となることもありません。このように手足口病は基本的には数日間の内に治癒する予後良好の疾患ですが、まれではあるものの髄膜炎を合併することがあり、非常に少ない例ですが、他に小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症などのほか、心筋炎、急性弛緩性麻痺などの多彩な臨床症状を呈することもあります。特にEV71に感染した場合は、中枢神経系の合併症を引き起こす割合が高いことが明らかとなってきていますので注意が必要です。一方、近年みられるようになったCA6による手足口病では、水疱が5mm程度と大きく、四肢末端に限局せずに前腕部から上腕部、大腿部から殿部と広範囲に認められ、発熱も39℃を上回ることも珍しくなく、水痘(水ぼうそう)との鑑別が困難な例もあります。また、手足口病を発症して治癒した後に、数週間を経て上下肢の爪が脱落する爪甲脱落症を来す場合があり、CA6を原因とする手足口病の特徴となっています。
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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏