図.麻しん 2016年第1週~第33週 週別報告数<br />監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏 図.麻しん 2016年第1週~第33週 週別報告数
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
 日本国内での麻しん(はしか)の患者報告が急増しています。

 特に関西空港でのアウトブレイク(集団発生)は、空港利用者を中心に全国に感染が拡大していく可能性があります。

 1歳を超えていて、まだ麻しんのワクチン(MRワクチンなど)を接種されていないお子さまがいる場合は、ただちにワクチンの接種をおこなってください。

 麻しんは広範囲に空気感染する感染症であり、また、一旦発熱すると一週間以上高熱が続き、入院を要することも珍しくありません。

 加えて、お子さまの場合は肺炎や脳炎などの合併症によって生命に関わることもあります。

 有効な治療法はなく、唯一の予防手段はワクチンの接種のみです。

地域別情報

 2016年第33週(8/15~8/21)の速報データによると、千葉県(6件)ほか東京都・兵庫県・神奈川県・愛知県・大阪府・和歌山県・福岡県(各1件)で報告が上げられています。

感染経路

 麻しんは麻しんウイルスが人から人へ感染していく感染症であり、他の生物は媒介しません。人から人への感染経路としては空気(飛沫核)感染の他に、飛沫感染、接触感染もあります。

 麻しんは空気感染によって拡がる代表的な感染症であり、その感染力は強く、1人の発症者から12~14人に感染させるといわれています。麻しん発症者が周囲の人に感染させることが可能な期間(感染可能期間)は、発熱等の症状が出現する1日前から発疹出現後4~5日目くらいまでです。

 学校保健安全法施行規則では、麻しんに罹患した場合は解熱後3日間を経過するまで出席停止とされています。

予防

 麻しんは空気(飛沫核)感染する感染症です。麻しんウイルスの直径は100~250nmであり、飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染しますので、マスクを装着しても感染を防ぐことは困難です。

 麻しんの感染発症を防ぐ唯一の予防手段は、予めワクチンを接種して麻しんに対する免疫を獲得しておくことです。

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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2016/09/01