図.咽頭結膜熱 流行の様子情報元:IDWR2016年第18週(2016年5月2日~2016年5月8日)<br />監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏 図.咽頭結膜熱 流行の様子情報元:IDWR2016年第18週(2016年5月2日~2016年5月8日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
 GWが明けて本格的な流行が始まると思われます。6月~7月に流行のピークを迎える感染症で、今後注意が必要です。

 別名プール熱とも呼ばれています。主にアデノウイルス3型(他に1、2、4、5、6、7型等でもみられる)に感染することによってみられる咽頭炎、結膜炎を主とする急性ウイルス性感染症です。なお、プール熱という名前の方が一般的に知られるようになり、プールに入ったら感染してしまうなどというイメージを持っている方もいらっしゃいますが、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水を介して感染することはほとんどありません。

地域別情報

 2016年第18週の速報データによると、定点当たり報告数が最も多いのは島根県、次いで佐賀県、鹿児島県、福井県、宮崎県、鳥取県となっています。

症状

 発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)の3つが主な症状です。通常感染してからの潜伏期間は5~7日。症状がある期間は3~5日といわれています。

感染経路

 咽頭結膜熱の感染経路は、主に接触感染です。また、飛沫感染もあります。

 原因ウイルスは、アデノウイルスで、感染力は強力です。直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接接触でも感染が広がります。

 アデノウイルスは、環境中で数日間活性を保っているため、施設やご家庭などで患者が発生している場合は、皆がよく手を触れるものを中心に消毒を行うことも重要な感染対策となります。

治療方法

 特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。

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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2016/5/20