平成28年熊本地震の影響により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

 熊本、大分を中心に大きな地震が発生しました。
 いつ起こるかわからない災害。そのときどんな感染症に注意が必要なのかをお伝えします。

インフルエンザ

 現在、全国的な流行はすでに収束傾向にありますが、避難所などの人が多く集まる場所では集団感染の恐れがあります。

 予防接種を受けることが有効な予防法となりますが、抗体ができるまでに約2週間かかります。

 予防接種を受けていない場合はマスクの着用や手洗いの徹底を心がけましょう。

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インフルエンザ以外の呼吸器系の感染症

 様々なウイルスによる感染症や溶連菌感染症等が含まれます。

 また、がれきの撤去や現時点で衛生面にあまり注意を払われていない共同の浴場の使用等で、レジオネラ感染症の発生にも注意が必要です。

ノロウイルス感染症

 患者の嘔吐物や下痢便を介して飛沫感染をします。

 ノロウイルス感染症にはワクチンがないため、感染を防ぐことは簡単にはいきません。

 流水・石けんによる手洗いが最も重要で効果的な予防法になります。

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破傷風

 破傷風は土壌中に広く存在する破傷風菌に感染することで発症します。

 破傷風菌はその芽胞が創傷部位により体内に侵入し感染します。

 創傷部位を適切に治療することにより、感染の可能性が低くなります。
災害時、がれきや泥の撤去作業の際に怪我をした場合、潜伏期間(3~21日)の間は注意が必要です。

 初期症状として強直性けいれんが局所(痙笑、開口障害、嚥下困難など)から始まります。

 その後、全身(呼吸困難や後弓反張など)に移行し、重篤な患者では呼吸筋の麻痺により窒息死することがあります。

 破傷風の予防として、DPT-IPV(4種混合)、DPT(3種混合)、DT(2種混合)の3種類のワクチンが使用できます。

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 感染症によっては事前に予防できるものがあります。

 万が一のときのための対策を心がけましょう。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2016/4/25