一方、水ぼうそう(水痘)患者数が減少していくと水ぼうそう(水痘)のウイルスに感染する機会も減少していくために、今後高齢者を中心に、帯状疱疹の発症者が増加してくる可能性があります。これまでは過去に水ぼうそう(水痘)を発病した人も、感染することによって水ぼうそう(水痘)に対する免疫が増強し、それによって発症を抑える結果となっていたためです。
では、やはり定期接種などせずに、水ぼうそう(水痘)がこれまでのように日本国内で流行し続ける方がいいのでしょうか?それでは毎年たくさんの子ども達が水ぼうそう(水痘)を発病することによって、いつまでたっても将来帯状疱疹を発症する人の数を減らすことはできないと思われます。
一時的に帯状疱疹の発症者数は増加するかもしれませんが、現在行われている水ぼうそう(水痘)ワクチンの定期接種は、将来大きく帯状疱疹の発症者を減少させるために重要であることを理解していただきたいと思います。
また、過去に水ぼうそう(水痘)に罹患したことがある成人が、今後帯状疱疹を発症する可能性を減らすことを目的として、成人を対象(60歳以上)とした水ぼうそう(水痘)ワクチンの接種が既に米国等では行われています。我が国の成人の大半は過去に水ぼうそう(水痘)に罹患した経験があり、高年齢となるにつれて少なからぬ人達が帯状疱疹を発症していくことになると予想されます。今後我が国でも過去に水ぼうそう(水痘)に罹患した人に対する帯状疱疹の予防対策としてのワクチン接種の有用性について、検討されていくこととなると思われます。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2015/6/26
更新:2015/6/26