前週との比較
 国立感染症研究所によると、第44週(10月27日~11月02日)のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点あたりの報告数は、全国的に増加しています。都道府県別の上位は、鳥取県、福岡県、北海道、岩手県です。

 感染症・予防接種ナビで、過去5年間の全国47都道府県の定点あたり報告数の値の95%に相当する点を超える値を「本格的な流行」とした場合、第44週で本格的な流行に入ったエリアは、鳥取県、福岡県でした。

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)の症状は、潜伏期間は2~5日であり、突然の発熱、咽頭痛、全身倦怠感によって発症し、しばしば嘔吐を伴います。通常発熱は3~5日以内に下がり、主な症状は1週間以内に消失する予後良好の疾患ですが、溶連菌が産生する毒素に免疫のない場合は猩紅熱(しょうこうねつ:溶連菌の産生する毒素で全身の皮膚に赤い発疹が現れるのが特徴)に発展する場合があります。

 治療として抗菌薬の投与が行われます。ペニシリン系が第一選択ですが、ペニシリンにアレルギーがある場合にはマクロライド系等の他の抗菌薬が用いられています。リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を予防するために、少なくとも10日間は確実に投与することが必要です。

 予防法としては、患者との濃厚接触を避けることが最も重要です。また、マスクを用いた咳エチケット(咳やくしゃみを発する者が周囲への感染予防のためにマスクを着用すること)や手洗いなどの一般的な予防法も効果が期待できます。

 感染経路は、主にヒトからヒトへの飛沫感染ですが、接触感染もあります。

情報元:IDWR2014年第44週(10月27日~11月02日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2014/11/11