感染症・予防接種ナビでは、以下、日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会 2019年7月改訂版を抜粋して「学校、幼稚園、保育所で予防すべき感染症」を掲載しています。
子どもが集団生活をおくる学校、幼稚園、保育所においては、感染症に罹患する機会が多くあるため、感染対策が望まれます。そこで日本小児科学会では、学校保健安全法にて定められている感染症に加え、保育、教育を受ける時期に感染しやすい感染症の概要を、最新の知見をもとに紹介し、予防・対策法について示すこととしました。学校、幼稚園、保育所での感染対策の参考として広く普及され、子どもの健康が守られることを望みます。
※保育所については、厚生労働省が発行している「2018年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」を元に掲載している「感染症にかかったときの登園のめやすと医師の意見書及び保護者の登園届け」を参照してください。
感染症名 | 主な 潜伏期間 | 主な感染経路 | 登校(園)基準 |
---|---|---|---|
急性灰白髄炎(ポリオ) | 7-21日 | 経口感染 | 急性期の症状が治癒後 |
ジフテリア | 2-7日 | 飛沫感染 | 治癒後 |
重症急性呼吸器症候群 | 2-10日 | 飛沫感染 | 治癒後 |
中東呼吸器症候群 | 2-15日 | 飛沫感染、接触感染 | 治癒後 |
特定鳥インフルエンザ | 2-60日 | 飛沫感染 | 治癒後 |
インフルエンザ | 1-4日 | 飛沫感染 | 発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過した後。幼児においては、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過した後。 |
百日咳 | 7-10日 | 飛沫感染 | 特有な咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了した後。 |
麻疹 | 8-12日 | 空気感染、接触感染 | 解熱後3日経過した後 |
流行性耳下腺炎 | 16-18日 | 飛沫感染 | 耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫張が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好となった後。 |
風疹 | 16-18日 | 飛沫感染 | 発疹の消失後 |
水痘 | 14-16日 | 空気感染、接触感染 | すべての発疹が痂皮化した後 |
咽頭結膜熱 | 2-14日 | 接触感染、飛沫感染 | 主要症状が消失して2日経過後 |
結核 | 2年以内 | 空気感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
髄膜炎菌性髄膜炎 | 4日以内 | 飛沫感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
コレラ | 1-3日 | 経口感染 | 治癒後 |
細菌性赤痢 | 1-3日 | 経口感染 | 治癒後 |
腸管出血性大腸菌感染症 | 10時間-8日 | 経口感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
腸チフス、パラチフス | 7-14日 | 経口感染 | 治癒後 |
流行性角結膜炎 | 2-14日 | 接触感染、飛沫感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
急性出血性結膜炎 | 1-3日 | 経口感染、飛沫感染 | 感染のおそれがないと認められた後 |
溶連菌感染症 | 2-5日 | 飛沫感染 | 適切な抗菌薬による治療開始後24時間以降 |
A型肝炎 | 15-50日 | 経口感染 | 肝機能が正常化した後 |
B型肝炎 | 45-160日 | 接触感染(血液、体液など) | 急性肝炎の極期を過ぎてから |
C 型肝炎 | 6-7週 | 接触感染(血液、体液など) | 急性肝炎の極期を過ぎてから |
手足口病 | 3-6日 | 経口感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
ヘルパンギーナ | 3-6日 | 経口感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
無菌性髄膜炎(エンテロウイルスによる) | 3-6日 | 経口感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
伝染性紅斑(りんご病) | 4-14日 | 飛沫感染 | 症状が回復した後 |
ロタウイルス感染症 | 1-3日 | 経口感染 | 下痢、嘔吐が消失した後 |
ノロウイルス感染症 | 12-48時間 | 経口感染 | 下痢、嘔吐が消失した後 |
サルモネラ感染症 | 12-36時間 | 経口感染 | 下痢、嘔吐が消失した後 |
カンピロバクター感染症 | 1-7日 | 経口感染 | 下痢、嘔吐が消失した後 |
肺炎マイコプラズマ感染症 | 2-3週 | 飛沫感染 | 症状が回復した後 |
肺炎クラミジア感染症 | 平均21日 | 飛沫感染 | 症状が回復した後 |
インフルエンザ菌b型感染症 | 不明 | 飛沫感染 | 症状が回復した後 |
肺炎球菌感染症 | 1-3日 | 飛沫感染 | 症状が回復した後 |
RSウイルス感染症 | 4-6日 | 接触感染 | 症状が回復した後 |
ヒトメタニューモウイルス感染症 | 3-5日 | 接触感染 | 症状が回復した後 |
ライノウイルス感染症 | 2-3日 | 接触感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
パラインフルエンザウイルス感染症 | 2-6日 | 接触感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
エンテロウイルスD68感染症 | 3-6日 | 接触感染、飛沫感染 | 症状が回復した後 |
EBウイルス感染症 | 30-50日 | 接触感染(体液) | 症状が回復した後 |
サイトメガロウイルス感染症 | 不明 | 接触感染(体液) | 症状が回復した後 |
単純ヘルペスウイルス感染症 | 2日-2週 | 接触感染 | 歯肉口内炎のみであればマスクをして可 |
帯状疱疹 | 不定 | 接触感染 | 病変部が被覆されていれば登校して可。ただし水痘を発症する可能性が高い子どもの多い幼稚園、保育所ではかさぶたになるまで登園は控える。 |
日本脳炎 | 6-16日 | 蚊を介した感染 | 症状が回復した後 |
突発性発疹 | 9-10日 | 接触感染(唾液) | 症状が回復した後 |
ボツリヌス症 | 12-48時間 | 経口感染、皮膚感染 | 症状が回復した後 |
ネコひっかき病 | 皮膚症状まで7-12日 | ネコによるひっかき、咬みつき | 症状が回復した後 |
デング熱 | 蚊に刺されて3-14日 | 蚊を介した感染 | 症状が回復した後 |
ジカウイルス感染症 | 3-12日 | 蚊を介した感染 | 症状が回復した後 |
重症熱性血小板減少症候群 | 6-13日 | マダニによる咬みつき | 症状が回復した後 |
アタマジラミ症 | 孵化まで10-14日 | 接触感染 | 制限はない |
伝染性軟属腫(水いぼ) | 2-7週 | 接触感染 | 制限はない |
伝染性膿痂疹(とびひ) | 2-10日 | 接触感染 | 制限はない |
疥癬 | 4-6週 | 接触感染 | 治療開始後 |
蟯虫症 | 1-2か月かそれ以上 | 経口感染 | 制限はない |
ヒトパピローマウイルス感染症 | 3か月-数年 | 接触感染、性感染 | 制限はない |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型感染症 | 数年-40年以上 | 性感染 | 制限はない |
ヒト免疫不全ウイルス感染症 | 母子感染では12-18か月、AIDS発症までは5年以上 | 血液感染 | 制限はない |
出典:公益社団法人日本小児科学会ホームページ>学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説(日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会)2019年7月改訂版
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=46
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