2014年3月以降、西アフリカのギニア、シエラレオネ及びリベリアを中心に流行しているエボラ出血熱について解説します。

問1:エボラ出血熱とはどのような病気ですか?
問2:どのようにしてエボラウイルスに感染するのですか?
問3:エボラ出血熱はどこで発生していますか?
問4:日本はどのような水際対策を行っていますか?
問5:万一、日本国内でエボラ出血熱の患者が発生した場合、どのような対応が取られるのですか?
問6:エボラ出血熱が日本国内で発生する可能性はありますか?
問7:アフリカの発生国を旅行しても安全でしょうか?


問1 エボラ出血熱とはどのような病気ですか?

答  エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症です。エボラウイルスに感染すると、2〜21日(通常は7〜10日)の潜伏期の後、突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状を呈します。次いで、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が現れます。現在、エボラ出血熱に対するワクチンや特異的な治療法はないため、患者の症状に応じた治療(対症療法)を行うことになります。

問2 どのようにしてエボラウイルスに感染するのですか?

答  エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)や患者の体液等に汚染された物質(注射針など)に十分な防護なしに触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染します。一般的に、症状のない患者からは感染しません。空気感染もしません。

 また、流行地では、エボラウイルスに感染した野生動物(オオコウモリ(果実を餌とする大型のコウモリ)、サル、アンテロープ(ウシ科の動物)等)の死体やその生肉(ブッシュミート)に直接触れた人がエボラウイルスに感染することで、自然界から人間社会にエボラウイルスが持ち込まれていると考えられています。

 なお、WHO(世界保健機関)は、流行地でエボラ出血熱に感染するリスクが高い集団を、
・ 医療従事者
・ 患者の家族・近親者
・ 埋葬時の儀式の一環として遺体に直接触れる参列者としています。

 エボラ出血熱は、咳やくしゃみを介してヒトからヒトに感染するインフルエンザ等の疾患とは異なり、簡単にヒトからヒトに伝播する病気ではありません。病気に関する知識を持ち、しっかりした対策を行うことで感染を防ぐことができます。

問3 エボラ出血熱はどこで発生していますか?

答  1970年代以降、中央アフリカ諸国(コンゴ民主共和国、スーダン、コンゴ共和国、ウガンダ、ガボン等)で、しばしば流行が確認されています。西アフリカでの流行、アフリカ大陸以外(スペイン、米国)での発生が確認されたのは、今回が初めてです。  なお、流行状況に関する最新の情報は、WHO(世界保健機関)の Disease Outbreak Newsのサイト(英語)(http://www.who.int/csr/don/en/)でみることができます。

参考:過去のエボラ出血熱の発生状況
(出典:WHO)

問4 日本はどのような水際対策を行っていますか?

答  検疫所のホームページや空港等におけるポスターの掲示を通じて、アフリカの発生国(ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国)への渡航者や帰国者に対する注意喚起を行っています。また、帰国者に対しては、空港で日頃から実施しているサーモグラフィーによる体温測定に加え、各航空会社に発生国に21日以内に滞在した乗客は自己申告するようお願いする旨の機内アナウンス協力を依頼、発生国への滞在等が把握できた在留邦人には、企業等を通じてエボラ出血熱に関する情報提供や、帰国時に検疫所に立ち寄るよう依頼、等を通じて発生国に滞在した場合には自己申告を促し、問診等を実施しており、流行地域(ギニア、リベリア、シエラレオネ)からの帰国・入国者には健康監視(問7)を実施しています。万一、発生国からの帰国者でエボラウイルスへの感染が疑われる方がいた場合、感染症指定医療機関に搬送するなどの対策を取れるよう、体制が整備されています。
参考:感染症指定医療機関の指定状況(平成26年4月1日現在)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20140811_02.pdf

問5 万一、日本国内でエボラ出血熱の患者が発生した場合、どのような対応が取られるのですか?

答 エボラ出血熱は、感染症法において、マールブルグ病やラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペストなどの感染症とともに、一類感染症に指定されています。

 流行地域からの帰国者で、一類感染症に感染した疑いのある人について医療機関等から連絡があった場合、国立感染症研究所で迅速に検査を行い、感染の有無を確認する体制が整備されています。検査の結果、感染していることが明らかになれば、患者は感染症指定医療機関に移送され、感染防御対策の施された病室において適切な医療が公費により提供されることになります。

問6 エボラ出血熱が日本国内で発生する可能性はありますか?

答  エボラ出血熱は、インフルエンザなどとは異なり、主として患者に直接接触することにより感染すること(問2)、流行地域はアフリカに限定されていること(問3)から、現時点では国内で発生するリスクは低いと考えられます。しかしながら、すでに欧米諸国でみられたとおり、国内で患者が発生する可能性はゼロではなく、国内での発生に備えて体制が整えられています。

問7 アフリカの発生国を旅行しても安全でしょうか?

答  現在(平成26年10月21日時点)、日本の外務省は、ギニア・シエラレオネ・リベリアについて、渡航者向けに「不要不急の渡航は延期してください。一旦入国しても、商業便の運航停止などにより,出国できなくなる可能性あることに留意してください。」及び在留邦人向けに「商業便の運航停止などにより、出国できなくなる可能性及び現地で十分な医療が受けられなくなる可能性があります。これらを踏まえ,早めの退避を検討してください。」、「帰国に際しては,経由地及び日本国内の空港等で停留される可能性がありますので留意してください。」とする感染症危険情報を発出しています。

 渡航する必要がある場合は、渡航前に、厚生労働省検疫所や外務省の海外安全情報のホームページなどで現地の流行状況等、最新情報を確認して下さい。また、アフリカの発生国では、基本的な衛生対策(手を洗う、病人・動物との接触を避けるなど)を確実に行い、エボラ出血熱を含め、様々な感染症にかからないよう注意して下さい。

 アフリカの発生国から帰国・入国した際は、各空港等に設置された検疫所の検疫ブースにおいて、アフリカの発生国に滞在していた旨、検疫官に告げ、その指示に従うようにしてください。入国後も、万一、21日以内に、突然の発熱や頭痛などの症状がみられた場合は、速やかに電話にて最寄りの保健所又は検疫所にご連絡ください。

 なお、ギニア、リベリア及びシエラレオネの国に渡航又は滞在していた場合、21日間1日2回(朝・夕)の体温その他の健康状態について検疫所に報告いただくことになります。

参考:厚生労働省検疫所ホームページ http://www.forth.go.jp/
参考:外務省 海外安全情報ホームページ http://www.anzen.mofa.go.jp/
出典:厚生労働省ホームページ「エボラ出血熱に関するQ&A」(平成26年10月21日作成 第3版)」http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola_qa.html