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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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【12月に注意してほしい感染症!】インフルエンザ・新型コロナの動向に要注視 マイコプラズマ肺炎は過去最多を更新 医師「首都圏は伝染性紅斑に注意」

2024年12月に注意してほしい感染症について、大阪府済生会中津病院の安井良則医師に予測を伺いました。流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。

【2024年】12月に注意してほしい感染症!インフルエンザの動向に要注視マイコプラズマ肺炎は過去最多を更新医師「首都圏は伝染性紅斑に注意」

【No.1】インフルエンザ

インフルエンザの患者報告数は、着実に増加しているものの、思ったより勢いがない印象です。また、エリアによっては、減少しているケースも見受けられます。しかし、一時的・局地的な減少はあったとしても、季節的にも流行自体はあると予測しています。2023年同様、例年と異なる状況で、流行規模の予測は困難ですが、引き続き注意が必要です。2024年第45週(11/4-10)の全国定点報告数では1.06となり、流行開始の目安を全国で超えています。インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年、世界中で流行がみられています。日本でのインフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え3月頃まで続きます。しかし、今季はシーズン入り前から、一定程度の患者報告数があり、例年の同時期に比べると高い水準でのシーズン入りとなりました。一方で、地域差や増加の幅など流行の動向がつかみにくいため、注意が必要です。主な感染経路は、くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染で、他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケットや接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。


【No.2】新型コロナウイルス感染症

11月末時点で、全国的に、患者報告数は、いったん落ち着いています。しかし、今後、感染者数がどのように推移するか、引き続き注意が必要です。2023年5月から、5類に移行しましたが、今でも、少ないながら、入院が必要なケースもあります。新型コロナワクチン接種者が減っていることもあり、今後の流行の動向などは、不明です。しかし、例年、12月に向け、患者報告数は伸びて行くため、現時点で、警戒を解くわけにはいきません。勤務先の病院に入院する患者さんの中には、肺炎を発症し、人工呼吸が必要なケースもあります。症状が悪化され搬送されてくるのは、ワクチン未接種の方が多い印象です。合併症の恐れがある方は、特に注意が必要です。ワクチンを接種した後も、基本的な感染対策を続けるなど決して油断しないでください。中には、命に関わるケースもあります。体調不良の場合や医療機関・高齢者施設を訪問の際はマスクの着用は必須です。大阪府では、第46週から、増加を見せ始めました。全国的にも、注意が必要な時期に入ると予測されます。

【No.3】マイコプラズマ肺炎

2024年は、マイコプラズマ肺炎の患者報告数が過去最多を更新しました。第43週(10/21-27)を境に、2週連続で減少していますが、患者数自体は、まだ多い状況です。ピークが過ぎつつあるのか、今後の動向に注視が必要です。マイコプラズマ肺炎は、入院が必要になるケースもあり、注意が必要です。直接、診察した患者さんは、挿管が必要になるほど重症化し、長引く咳が辛そうでした。小児科では、迅速検査キットを使用し検査ができる場合も多いです。しかし、大人の場合は、咳・発熱症状を訴えて、クリニックで受診しても、原因不明で大きな病院に紹介され、そこでマイコプラズマ肺炎と判明するケースもあります。身の回りで、マイコプラズマ肺炎が流行していることを知っておくことが大切です。別名、オリンピック病と呼ばれ、4年に一度、オリンピックの年に流行すると言われています。しかし、前回の東京オリンピック開催予定年であった2020年は、コロナ禍で流行することはありませんでした。2024年に入り、徐々に患者数の報告が増えており、今年は流行すると予測しています。8年間ほど流行していなかったため、流行すると入院される方も増加します。2024年8月中旬時点のデータをみると、年初から、大きく増加。秋口あたりから、本格的な流行に移行する恐れもあり、注意が必要です。マイコプラズマ肺炎とは、肺炎マイコプラズマを病原体とする呼吸器感染症です。飛沫感染による経気道感染や接触感染によって伝播すると言われています。感染には濃厚接触が必要と考えられており、保育施設、幼稚園、学校などの閉鎖施設内や家庭などでの感染伝播はみられますが、短時間の曝露による感染拡大の可能性はそれほど高くはありません。潜伏期間は、2~3週間とインフルエンザやRSウイルス感染症等の他の小児を中心に大きく流行する呼吸器疾患と比べて長いです。初期症状として、発熱、全身倦怠、頭痛などが現れた後、特徴的な症状である咳が出現します。初発症状発現後3~5日から始まることが多く、乾いた咳が経過に従って徐々に増強し、解熱後も長期にわたって(3~4週間)持続します。抗菌薬投与による原因療法が基本ですが、「肺炎マイコプラズマ」は細胞壁を持たないために、β-ラクタム系抗菌薬であるペニシリン系やセファロスポリン系の抗生物質には感受性はありません。蛋白合成阻害薬であるマクロライド系(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)が第1選択薬とされてきましたが、以前よりマクロライド系抗菌薬に耐性を有する耐性株が存在することが明らかとなっています。近年その耐性株の割合が増加しつつあるとの指摘もあります。最初に処方された薬を服用しても症状に改善がみられない場合は、もう一度医療機関を受診していただくことをお勧めします。

【No.4】感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症)

感染性胃腸炎の一つである、ノロウイルス感染症は保育所や幼稚園、小学校などの集団生活で多くみられる感染症です。ノロウイルスに感染すると、多い時には10回以上のおう吐や下痢の症状が続きます。そのおう吐物や下痢便には、ウイルスが大量に含まれ、わずかな量のウイルスが体の中に入っただけで、容易に感染します。ノロウイルス感染症は有効とされるワクチンや薬がまだ開発されていないため、対症療法を行います。下痢止めを飲むと、ウイルスが体内に残ってしまうため、飲まないようにしましょう。嘔吐や下痢が続いている時は、脱水症状に注意して下さい。水分を補給する際には、電解質輸液が効果的です。
ウイルスが付着していると考えられる物品の消毒については、次亜塩素酸ナトリウム系(塩素系消毒剤)を用いて行いましょう。使用する濃度は500ppm以上が推奨されます。嘔吐や下痢などの症状が改善しても24時間は、自宅で様子をみるようにしましょう。症状がなくなったからといって、登園もしくは登校させると、集団感染につながるおそれがあります。

【No.5】A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は、学校・幼稚園・保育園などでの流行が多くみられます。第45週(11/4-10)の全国定点は1.68と、例年通りの一定の水準を保ちながら、推移しています。2024年前半に大きな流行があったため、冬季の流行がどのような動きをするか注視しています。溶連菌感染症は、例年、冬季および春から初夏にかけての2つの報告数のピークが認められています。保育所や幼稚園の年長を含め、学童を中心に広がるので、学校などでの集団生活や、きょうだい間での接触を通じて感染が広がるので、注意しましょう。感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。また、劇症型溶連菌感染症の累積患者数も、2024年第45週時点で、1,691人となっています。溶連菌感染症の大きな流行があれば、劇症型の患者数も増加します。注意してください。

【要注意】梅毒

梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。感染すると全身に様々な症状が出ます。2024年の累積患者数は、12,609人となっています。このまま増加が続けば、今年は、2023年並みの14,000例ほどになることが予測されます。増加のペースは、昨年をやや下回っていますが、性別関係なく、患者報告数があり、特に女性では、梅毒に感染したと気づかないまま妊娠して、先天梅毒の赤ちゃんが生まれる可能性があるので注意が必要です。妊娠中でも治療は可能です。ほとんどの産婦人科では、妊婦健診の際に血液検査してもらえます。妊娠したら必ず梅毒の検査を受けましょう。早期の投薬治療などで完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また患者本人が完治しても、パートナーも治療を行うなど、適切な予防策を取らなければ、感染を繰り返すことがあるため、注意が必要です。

感染症に詳しい医師は…

大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「12月に最も注意してほしい感染症は、インフルエンザを挙げました。今後、気温・湿度が低い流行に適した季節となるため注意してください。そして、気がかりなのは、新型コロナウイルス感染症です。ワクチンを接種する方も、減っていますし、新型コロナも新たな株が検出されています。2024年の冬は、どのような流行規模になるか予測できません。しかし、例年、冬季の流行は12月頃から始まります。冬季は、気温・湿度の低下で、病原体の流行に適したシーズンとなることに加え、冬休み・帰省などで、人の流れも変わります。様々な感染症に注意が必要です。また、今回、記載はしませんでしたが、関東地方を中心に首都圏で、伝染性紅斑(りんご病)の報告が増えています。伝染性紅斑はお子さんの頬が赤くなり伝染性紅斑だとわかった頃には、感染する可能性は、ほぼ無くなっているのですが、その前の症状がほとんどない時期にウイルスを排出しているので、なかなか予防が難しい感染症です。保育園や幼稚園で伝染性紅斑が流行っているときには、特に妊娠しているお母さんは胎児に影響があることもあり注意が必要です。伝染性紅斑が流行が確認された幼稚園・保育園などでは、掲示・連絡を行い、妊婦さんを感染症から守ってあげてください」としています。

監修・取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2024年12月期

インフルエンザ
新型コロナウイルス感染症
マイコプラズマ肺炎 
感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2024年第47週(2024年11月18日~2024年11月24日)

流行の様子

インフルエンザ(季節性) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) マイコプラズマ肺炎 ノロウイルス感染症
 

インフルエンザ(季節性)

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

マイコプラズマ肺炎

情報元:IDWR2024年第47週(2024年11月18日~2024年11月24日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

ノロウイルス感染症

情報元:日本学校保健会
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
びせいぶつ芸能社
風疹ゼロプロジェクト
「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省が11月29日に発表した「インフルエンザの 発生状況について」令和6年第47週(11/18-24 )によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は、 2.36。今シーズンに入り初めて2を超えました。12 月を前に・・・
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厚生労働省が11月29日に発表した「インフルエンザの 発生状況について」令和6年第47週(11/18-24 )によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は、 2.36。今シーズンに入り初めて2を超えました。12 月を前に、気温も下がってきました。いよいよ本格的な流 行が始まるのでしょうか。感染症に詳しい大阪府済生会中 津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「イン フルエンザは、定点で2を超えると、流行に勢いがつくと 言われています。2019年の12月と同じような動きを しているため、患者報告数は、このまま伸びて行く可能性 が高いと予測しています。一方で、昨年の2023年の一 年を通じた患者報告数は、過去最多となりました。昨年の 流行で、免疫を持っている方も多いと考えられるため、ど こまで増え続けるのか、または先細りになるのかは予測が できません。インフルエンザに感染し、5歳未満が発症し た場合、重症化のリスクもあります。基礎疾患をお持ちで あったり、健康面で不安のある方は、流行のピークを迎え る前に接種を検討してみてください」としています。
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