新型コロナウイルス感染症
2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。
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【感染症ニュース】RSウイルス感染症の全国定点0.48に 近畿地方を中心にじわじわと流行が拡大中 ヒトメタニューモウイルス感染症も流行中か…
国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2024年第11週(3/11〜17)によると、全国のRSウイルス感染症の定点あたり報告数は0.48。今年に入り11週連続で増加しており、この1か月で報告数は・・・
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国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2024年第11週(3/11〜17)によると、全国のRSウイルス感染症の定点あたり報告数は0.48。今年に入り11週連続で増加しており、この1か月で報告数は約3倍になっています。RSウイルス感染症は、乳幼児・・・特に生後1か月未満の子どもが感染すると突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあるなど、注意が必要な感染症です。
【2024年】3月に注意してほしい感染症!インフルエンザ・新型コロナ共にピークアウトの兆候も…要注意はRSウイルス感染症
大阪府が突出して報告数が多い!
都道府県別の定点当たり報告数は、大阪府1.84、奈良県1.15、北海道1.11、福井県0.96、福島県0.76、京都府0.62で多くなっています。特に大阪府は患者報告数が多く、周辺の奈良県、京都府も報告数が増えていることから、近畿地方を中心にRSウイルス感染症の流行が広がり始めています。
■感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、
「私の勤務する大阪府ではRSウイルス感染症が依然として増加していて、大阪北部では3.14、北河内では2.80となっています。2023年の大阪府のピーク時は5月の約4ですので、それに近い流行の地域もあるということです。乳幼児に重症化の可能性のあるRSウイルス感染症ですが、大阪の患者のうち約29%が1歳代ということで、重い症状のお子さんが出ることが心配です。RSウイルス感染症は、新型コロナやインフルエンザのように急激に流行が拡大することはありませんが、ゆっくりと長く流行するので、乳幼児のお子さんを持つ保護者の方は特に注意していただきたいと思います」としています。
RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症は、RS(respiratory syncytial)ウイルスを病原体とする呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の人が1度は感染するとされています。症状としては、発熱や鼻汁などの軽い風邪のような症状から重い肺炎まで様々です。初回の感染時にはより重症化しやすいといわれており、特に生後6か月以内にRSウイルスに感染した場合は、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。
乳幼児の感染には要注意!
RSは生涯にわたって感染を繰り返しますが、幼児期における再感染での発症はよくみられ、その多くは軽い症状です。また、成人では通常は感冒用症状のみです。初感染の乳幼児においても約7割は鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに警戒しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難などが出現します。重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります。
RSウイルスの感染経路は?
RSウイルスは主に接触感染と飛沫感染で感染が広がります。RSウイルスに感染している人との直接の接触や、感染者が触れたことによりウイルスがついた手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップなど)を触ったり、舐めたりすることで感染する接触感染。あるいはRSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、あるいは会話などをした際に口から飛び散る飛沫を浴びて吸い込むことによる飛沫感染で広がります。乳幼児に関しては、周りの大人やきょうだいから感染することが多く、風邪のような症状があるときには乳幼児になるべく近づかないなどの配慮が必要です。
ヒトメタニューモウイルス感染症も増加中か?
安井医師は、勤務先の小児科医から、子どもの急性呼吸器感染症の原因となるヒトメタニューモウイルスで、医療機関を受診するお子さんの話を耳にすることが多くなったと言います。RSウイルスは生後2歳までに大半の子どもが感染すると言われていますが、ヒトメタニューモウイルスは5〜10歳までに大半の子どもが感染すると言われています。また入院を要する症状となった子どもの平均の年齢はRSウイルスが2〜3か月であるのに対し、ヒトメタニューモウイルスは6〜12か月という報告があります。
安井医師「ヒトメタニューモウイルスはRSウイルスとよく似ており、呼吸器疾患を引き起こします。一般的には咳や喘鳴、発熱や鼻水など風邪のような症状が現れますが、子どもでは重症化する例もあります。また、高齢者が感染して重症化することがあり、過去には高齢者施設で集団感染が起き、多くの人が肺炎の症状を呈するということもありました。ヒトメタニューモウイルスは現在、RSウイルスのような全国的な統計調査が行われていません。一日も早くサーベイランスが確立し、流行を把握することが重要だと思います」と語っています。
引用
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2024年11週(3/11〜17)、「COVID-19流行下の小児基幹病院における当院に入院した重症ヒトメタニューモウイルス感染症の状況」(IASR Vol. 43 p188-189: 2022年8月号)
厚生労働省HP:RSウイルス感染症Q&A(令和6年1月15日改訂)、
大阪府感染症発生動向調査週報(速報)2024年11週(3/11〜17)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
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動画で解説
予防接種で健やかな人生を!
注意してほしい感染症
2024年3月期
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
過去5年間の同時期との比較
インフルエンザ
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咽頭結膜熱
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溶連菌感染症
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感染性胃腸炎
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水痘
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手足口病
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伝染性紅斑
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突発性発しん
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百日咳
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ヘルパンギーナ
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流行性耳下腺炎
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急性出血性結膜炎
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流行性角結膜炎
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マイコプラズマ肺炎
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かなり多い
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やや多い
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平均水準
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やや少ない
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かなり少ない
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情報元:IDWR 2024年第11週
2024年3月11日~2024年3月17日
流行のようす
インフルエンザ(季節性)
インフルエンザは、2024年第6週(2/5-2/11)は、前週に比べ増加に転じています。これは、流行の中心がA型からB型に置き換わってきていることが要因と考えられます。一方で、流行には地域差があり、大阪府などでは、患者報告数が頭打ちになり、ピークアウトの兆候もみられます。これまでの流行状況について、多少の増減はあるものの、国内のインフルエンザの患者発生数は、2023年9月以降現在に至るまで増加傾向が続いており、引き続き注意が必要と考えています。
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
新型コロナ患者報告数は2024年第6週(2/5-2/11)時点で、前週から減少に転じました。全国的な流行は、間もなく、落ち着いてくると予測しています。国内の主流株であったEG.5とその派生株からなるXBB系統は、BA.2系統の派生株であるBA.2.86系統へ置き換わっています。BA.2.86系統は、スパイクタンパク質に従来のBA.2系統とは30箇所以上、現在主流であるXBB系統とは35箇所以上のアミノ酸配列の変異を有しており、抗原性が大きく異なることより、ワクチンや既感染からの免疫逃避に優れている可能性が高いことが指摘されています。米国CDCではBA.2.86からの派生株であるJN.1が国内で増加しつつあることをHP上で報告しており、日本国内においても、BA.2.86系統へ置き換わっています。流行は、今後、落ち着きをみせると思われますが、水準的には、減り切っていないため、2024年3月以降も、しばらく、患者発生動向には注意していく必要があると考えています。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は、学校・幼稚園・保育園などでの流行が多くみられます。幼稚園・保育園・小学校など集団生活の場で、流行することなどから、注意が必要です。患者報告数も、2024年第6週(2/5-2/11)時点で、高い水準を維持しており、春休みに入る前まで、一定程度の報告数は出てくるものと予測しています。特に、小学校低学年のお子さんや幼稚園・保育園のお子さんは、注意が必要でしょう。
情報元:IDWR2024年第11週(2024年3月11日~2024年3月17日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
咽頭結膜熱
咽頭結膜熱の患者報告数は、2023年12月に過去最高の流行をみせました。感染症の動向を、長年に渡り調査・分析していますが、このような動きは、今までありませんでした。流行は、2024年に入り、少し落ち着きをみせ始めましたが、しばらくは注視が必要です。咽頭結膜熱は、アデノウイルスを原因とする感染症です。症状は風邪とよく似ていますが、発熱、咽頭痛、結膜炎です。発熱は5日間ほど続くことがあります。眼の症状は一般的に片方から始まり、その後、他方に症状があらわれます。高熱が続くことから、新型コロナウイルス感染症とも間違えやすい症状です。吐き気、強い頭痛、せきが激しい時は早めに医療機関に相談してください。
情報元:IDWR2024年第11週(2024年3月11日~2024年3月17日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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インフルエンザ情報
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省が2月9日に発表の「インフルエンザの発生状
況について」令和6年第5週(1/29-2/4)では、
全国のインフルエンザ定点当たり報告数は22.62。4
週連続増加となりました。2023年は12月前半(令和
5年第49週)に警報レベルと・・・
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厚生労働省が2月9日に発表の「インフルエンザの発生状
況について」令和6年第5週(1/29-2/4)では、
全国のインフルエンザ定点当たり報告数は22.62。4
週連続増加となりました。2023年は12月前半(令和
5年第49週)に警報レベルとなる33.72で大きな流
行になりましたが、この先再び警報レベルに達する流行と
なるのでしょうか?感染症に詳しい大阪府済生会中津病院
院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「インフルエン
ザが2023年の12月前半に報告数のピークを迎えた時
は流行株はA型ウイルスが主流でしたが、現在はB型ウイ
ルスが流行の中心となっています。そのため年明けに再び
流行が拡大しているものと思われますが、報告数の増加は
それほど急激ではありません。」とはいえ一医療機関で一
週間に20人以上のインフルエンザ患者が報告されている
現在、大きな流行中であることには変わりありません。イ
ンフルエンザの症状が出た場合は早めに医療機関を受診す
ることが重要です/引用:国立感染症研究所「インフルエ
ンザウイルス週別検出状況2023/2024シーズン」
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