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蚊による感染症
~日本脳炎 2015夏~
2020年5月25日更新
日本脳炎 2015夏

日本脳炎も蚊が媒介する

 日本脳炎のウイルスを運ぶのも蚊です。

 実は、日本脳炎は日本では、今でも毎年数人ずつ日本脳炎の患者さんが出ています。発症すると致死率が20〜40%という、非常に怖い病気です。




日本脳炎とは?

 日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを保有しているコガタアカイエカという蚊が、ヒトを刺すことで感染が広がります。

 潜伏期間は6~16日。
 日本脳炎を発症すると、38~40度、あるいはそれ以上の高熱・頭痛・嘔吐・意識障害やけいれんなどの症状を示す急性脳炎を起こします。

 発症をすると、致死率は20~40%で幼児や子ども、高齢者は死亡リスクが高く、後遺症も生存者の45~70%、特に子どもに重度な障がいを残すことが多いとされています。

 ちなみに治療薬はなく、対症療法が中心になります。発症した時点ですでにウイルスが脳内に達しているため、かからないことが何よりも重要な感染症です。


 2013年、日本国内では9人の方が日本脳炎を発症しました。時期は、8月の後半から9月にかけて。主に西日本で患者がでています。


 徳島大学病院 神経内科の武内先生は、2013年に日本脳炎の患者を診察しました。

武内先生
「非常に珍しい病気なので、びっくりしたというところですね。最初頭痛と40度の発熱と吐き気、めまいということで、ウイルス性の脳炎で一番多いヘルペス脳炎とか、そういった一般的な他のウイルスの脳炎を疑って検査して、まあそれにもどれにも引っかからなくて、ほかは結核やあとは自己免疫の方の脳炎も考えていって調べて行って、ですがいずれの治療も有効ではなくて、当てはまらくて、最終的に日本脳炎のほうが浮かび上がってきました」

 発症したのは78歳の女性。現在も療養中だそうです。

武内先生
「やはり症状が急激に進行するということと、やはり一度発病してしまったら、3分の1の方がお亡くなりになってしまい、残り3分の1の方に高度な障がいが残ってしまうということで、やはり発病してからの有効な治療法が無いという点ですね。」

徳島大学病院 武内俊明医師

日本脳炎の伝染の仕方

 日本脳炎を媒介するコガタアカイエカは、主に水田などで繁殖し、日本全国に生息しています。

 日本脳炎は、ヒトからヒトへは感染しません。

 日本脳炎のウイルスをたくさん持っているのはブタや野生のイノシシです。

 ブタやイノシシは日本脳炎ウイルスに感染しても発症せず、体の中でウイルスを増殖させます。その蚊がヒトを刺すことによって、日本脳炎ウイルスをうつしてしまうのです。


 養豚場は日本全国にありますから、日本脳炎ウイルスを持った蚊というのは、夏には日本中にいると考えられます。

 コガタアカイエカは、デング熱のヒトスジシマカと違って、風に乗ると20キロぐらい移動したという記録もありますので、色々な場所にコガタアカイエカはいる可能性があるということです。

 しかし、それにもかかわらず患者の発生が年間に数人というのは、ひとえに予防接種のおかげだと思われます。


日本脳炎患者数の減少

 日本脳炎の患者数は1950年代から子どもを中心に、年間数千人の発生がありました。

 1954年から小児に対して不活化ワクチンである日本脳炎ワクチチンの接種が開始。

 さらに、1965年には、精製度が上がったワクチンが完成し、1967年から76年には特別対策として成人に積極的にワクチン接種を行ったところ、患者は急激に減少。

 1992年以降は、毎年10人以下の発症にとどまっています。






 日本脳炎というのは日本だけではなく、東アジアから、東南アジア、南アジアに広く分布する感染症で、年間3万人から4万人の患者の報告がありますが、日本だけでなく、韓国でもワクチンの接種が行われて、流行を食い止めています。


積極的勧奨が抑えられた5年間

 ところが、日本脳炎ワクチンの接種を国が勧奨しなかった時期がありました。

 平成17年5月30日から平成22年の3月31日までの間、日本脳炎ワクチンの積極的な接種勧奨が控えられため、受けていない子どもがいるのです。

 ワクチンの副反応で、重篤になった症例が一例出たことで、一時期、日本でも予防接種が推奨されなかった時期があります。

日本脳炎の予防接種

 現在の日本脳炎の予防接種は 3歳の時に2回 4歳の時に1回 そして、9歳の時に1回 計4回予防接種を受けることになっています。

 しかし、平成17年度から21年度に積極的な接種勧奨が控えられたため、そのころに3歳、4歳、あるいは9歳だった子どもが、必要な回数の予防接種を受けていない可能性があるのです。


 現在、日本で新しい製造法によるワクチンが開発され、ワクチンの接種は推奨は再開されています。そこで平成7年4月2日から平成19年4月1日に生まれたお子さんは、20歳未満の間に、いつでも日本脳炎ワクチンの定期接種を受けることができるようになりました。


 気になる副作用ですが、局所の反応としては、内出血、痛み、腫れなど、全身の反応としては発熱、発疹、じんましんなどがあります。稀にショック、アナフィラキシーなどがあります。


 実は、北海道では日本脳炎ワクチンの定期接種が行われていません。確かに西日本ほどウイルスを持っているブタがいないというデータはありますが、全くいないわけではありません。それに、進学や就職で道外に出て、西日本に行く場合もありますし、旅行や出張で日本脳炎の感染の可能性があるアジアの国に行くかもしれません。

 定期予防接種は、予防接種法に基づいて国が接種を勧めて、市区町村が主体的に実施するもので、年齢を決めて、その時に接種を受けてもらおうというものです。


 自費になりますが、ワクチンを接種すれば、子どもでも大人でも抗体ができます。事情があって子どもの頃に予防接種を受けなかった方や、高齢になって免疫力が弱くなっている方など、ぜひ予防接種を受けていただきたいものです。


医事監修:
国立感染症研究所ウイルス第一部 第2室室長 高崎智彦氏
国立感染症研究所感染症疫学センター第三室室長 多屋馨子氏
協力:田辺三菱製薬、制作協力:日テレアックスオン、製作著作:広島テレビ
更新:2015/7/12

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