​ ​ 【感染症ニュース】溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎) 12月の冬の流行のピークに向けて患者数の増加が続いている
【感染症ニュース】溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎) 12月の冬の流行のピークに向けて患者数の増加が続いている
2019年10月16日更新
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図:溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎) (第40週) <br />監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
図:溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎) (第40週)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
 溶連菌感染症は、12月の冬の流行のピークに向かって患者の増加が続いています。特に学童や幼児の集団生活施設(小学校・幼稚園・保育園など)では、溶連菌感染症の集団発生に注意が必要です。

 溶連菌感染症の症状が疑われる場合は、速やかにかかりつけ医を受診しましょう。溶連菌感染症と診断され、抗菌薬が処方された場合は、医師の指示に従うことが重要です。途中で抗菌薬をやめた場合、病気の再燃や糸球体腎炎などの合併症を来すことが知られています。

 溶連菌感染症は、主にA群溶血性レンサ球菌によって引き起こされる感染症で、重症化すると発しんも現れることがあります。予防のためのワクチンは、まだ実用化されていません。予防には、手洗い、咳エチケットなどが有効です。

患者数の動向

 IDWRの速報データによると
 2019/9/16~9/22(第38週)は、定点把握疾患(週報告)が4534件(1.44)
 2019/9/23~9/29(第39週)は、定点把握疾患(週報告)が4472件(1.42)
 2019/9/30~10/6(第40週)は、定点把握疾患(週報告)が5247件(1.66)

地域別情報

 9月30日~10月6日(第40週)の速報データによる、定点当たり報告数が最も多い順
 鳥取県(4.1)
 福岡県(3.53)
 新潟県(3.26)
 山形県(3.1)
 宮城県(2.69)

症状

 溶連菌感染症は、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な症状が現れることは少ないといわれています。

 症状としては2~5日の潜伏期間を経て、38度以上の発熱と全身倦怠感、のどの痛みによって発症し、しばしばおう吐を伴います。

 また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発しんが広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。また、十分な抗菌薬の投与による治療をおこなわないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などを引き起こすことが知られています。

予防

 予防のためのワクチンは、まだ実用化されていません。

 予防には、手洗い、咳エチケットなどが有効です。

「手洗いは、接触感染だけではなく、感染症予防の基本」
 有効な手洗いに必要な時間はだいたい30秒から45秒と言われていますので、思ったより長い時間が必要になります。主に外から帰ってきた後、あるいはトイレの後、食事の前が重要なタイミングになります。

 感染症には感染していても症状をきたさない「不顕性感染」というものがあり、感染症の種類によっては症状がなくても周りにうつしてしまうという事がありうるので、普段からの、しっかりきれいに手を洗うというのは、大事な予防法です。

「咳エチケット」
 主に咳やくしゃみに伴って周りに飛び散るのが飛沫感染ですので、そこを飛び散らないようにするには、咳をするとき、あるいはくしゃみをするときにとっさに肘の内側などで飛び散るのを防ぐ…これを咳エチケットと言います。

 口や鼻の周りを肘の内側などで覆い飛び散りを防ぐというのが有効です。ハンカチ、あるいはタオルで防ぐのも同様に有効だと思います。

 マスクはできる年齢であれば、マスクも周りに撒き散らさないという意味では非常に有効な方法だと思います。

 素手で押さえてしまった場合には手にウイルスや菌などがついてしまいますので、その後は手をしっかり洗うというのが大事になります。

登校・登園基準

 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会2018年7月改訂版『学校、幼稚園、保育所で予防すべき感染症』によると、溶連菌感染症の登校、登園基準は「適切な抗菌薬による治療開始後24時間以降適切な抗菌薬による治療開始後24時間以内に感染力は失せるため、それ以降、登校(園)は可能である。」とされています。

 厚生労働省の「2018年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」では、抗菌薬内服後24~48時間経過していることと記載されています。

▼溶連菌感染症について詳しく見る

▼「学校、幼稚園、保育所で予防すべき感染症感染症毎の登校」について詳しく見る

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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