はやり目と呼ばれる「流行性角結膜炎」を解説
2018年5月31日更新
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概要

 流行性角結膜炎(EKC:Epidemickeratoconjunctivitis)は、アデノウイルスD群である8・19・37型に加えて、E群の4型、B群の3・11型等を原因ウイルスとして発症する急性の濾胞性結膜炎です。

疫学

 流行性角結膜炎患者との接触により感染します。

 病院の医師、看護師、さらに職場や家庭などで、ウイルスにより汚染されたティッシュペーパー、タオル、洗面器などに触れるなどして感染します。

症状

 8~14日の潜伏期間を経て急性に発症し、流涙、眼脂が症状として現れます。眼瞼結膜の強い充血と濾胞(まぶたの裏の結膜にぶつぶつ)がみられ、眼瞼(まぶた)の浮腫を伴います。片方の眼に発症しますが、感染力が強いので数日を経て他眼にも波及することが多いです。

 結膜炎発症後1週間を過ぎると角膜点状上皮下混濁を起こします。耳前リンパ節の腫脹が高頻度にみられます。以上のような症状になりますが、通常は1~2週間で治癒し、視力障害を残さないことが多いです。

 発症者には対症療法的に抗炎症剤や抗菌剤の点眼が行われ、角膜混濁がみられる場合には、ステロイド剤の点眼薬が処方されています。

感染経路

 感染経路は、流涙、眼脂で汚染された手指やタオル類からの接触感染ですが、その感染力は強く、医療機関、職場、施設などで集団感染がみられることがあります。

予防の基本は

 接触感染予防の徹底です。タオルや点眼液など目に接触するものは個人用とすることです。

参考資料として
国立感染症研究所感染症疫学センター「流行性角結膜炎とは(2014年04月01改訂)」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/528-ekc.html
感染症発生動向調査週報IDWR 2005年第34週(8月22~28日)
https://idsc.niid.go.jp/idwr/douko/2005d/34douko.html#chumoku01
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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