11月6日~12日のノロウイルス感染症を中心とした感染性胃腸炎の患者報告数が前週よりも大きく増加。今後、12月下旬まで患者報告数の増加が続くものと予想。
ノロウイルス感染症は、接触感染を防ぐための流水・石鹸による手洗いが効果的ですが、おう吐物などの処理もとても重要です。今回は、おう吐物などの処理方法について詳しく解説します。
地域別情報
2017年11月6日~12日(第45週)の速報データによると、定点当たり報告数の多い順。
・宮崎県
・愛媛県
・大分県
・福岡県
・熊本県
症状
1~2日の潜伏期間を経て、吐き気、おう吐、下痢などの症状が出ます。症状は数時間から数日でおさまり、よぼどのことがない限り重症化することはありません。
感染経路
以前は、食中毒としての経口感染がよく知られていましたが、患者や無症状病原体保有者との直接もしくは間接的接触による接触感染や、患者のおう吐物や下痢便を介した飛沫感染等のヒト-ヒト感染があります。その感染力は非常に強いものです。
意外な感染経路
ノロウイルス感染症の意外な感染源が、舞い上がったホコリです。
おう吐物や下痢便に対して適切な処理をしない場合、その場所に残存しているノロウイルスがホコリとともに舞い上がって、その日だけでなく、数日を経てもその場所を歩いただけの人がそのノロウイルスを吸い込んで感染してしまうことがあります。
対処法
ノロウイルスに関係していると考えられるおう吐物や下痢便を発見した場合には、しっかりとペーパータオル等で拭き取り、取り除いたあとの場所を塩素系の消毒剤でしっかりと消毒することが大切です。
<処理のしかた>
1.おう吐物や下痢便の処理をする時には、マスク、手袋、ゴーグルなどをして、直接ウイルスが体につかないようにしましょう。
2.処理をする人以外を近づけないようにしましょう。
3.おう吐物や下痢便をペーパータオルなどでよく拭き取り、ビニール袋に入れて密封してから捨てましょう。
4.汚物を取り除いた後の床には、まだノロウイルスが残っているので塩素系消毒薬で消毒する。家庭用の塩素系漂白剤の原液を水で薄めたもので消毒剤ができます。
(500mlのペットボトルに水を入れて、キャップ1杯の原液を加えると、およそ100倍に希釈した消毒液がでます。塩素濃度約200ppm)
5.汚物のあった場所を中心に広い範囲を消毒します。ノロウイルス感染症を発症されている方は体のあちこちにウイルスが付着しているのでドアノブ、階段の手すり、トイレの便座なども塩素系の消毒剤でこまめに拭きとり消毒しましょう。
6.タオルは別々に使いましょう。
ノロウイルス感染症について詳しく見る▼
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏