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 肺炎球菌感染症は、グラム陽性双球菌で、主要な呼吸器病原性菌である肺炎球菌による感染症です。

 その菌表層の莢膜ポリサッカライド(CPS)は、最も重要な病原性因子であり、その血清型を決定する抗原でもあります。 現在までに少なくとも93種類の血清型の存在が知られています。

概要

 肺炎球菌は肺炎の原因となる細菌として最も重要であり、それ以外にも慢性呼吸器感染症、中耳炎、副鼻腔炎、敗血症、髄膜炎等の原因にもなります。乳幼児の鼻咽頭に高い確率で定着する常在菌で、暇圧感染により伝播する小児の細菌感染症の主要な原因菌です。保菌者のすべてが発症するわけではなく、抵抗力の低下や、粘膜バリアの損傷等により、宿主と菌の間の均衡が崩れて菌が体内に侵入すると発症します。

症状

 髄膜炎、敗血症・菌血症、肺炎、中耳炎等、多岐にわたりますが、本来無菌であるべき部位(血液、髄液等)から菌が検出される病態を侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal diseases,以下IPD) といいます。髄膜炎、敗血症・菌血症、血液培養養成の肺炎等が特に問題とされます。

 日本の小児において、次にあげる各疾患で肺炎球菌が原因となる割合は、中耳炎31.7%、菌血症72%、細菌性髄膜炎19.5%という報告があります。

 IPDは2歳未満の乳幼児で特にリスクが高く、ときに致命的であり、救命しても後遺症を残す可能性があるため、接種がかのうになる2か月齢以上の乳児では積極的にワクチンによる予防を講じることが重要になります。

予防接種

 肺炎球菌ワクチンには、主に高齢者を対象とする23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチンと、小児と高齢者を対象とする13価肺炎球菌結合型ワクチンがあります。

■13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)
〇予防接種対象とスケジュール
 定期接種の対象は2か月齢以上5歳未満です。定期接種で受ける場合、標準として2か月齢以上7か月齢未満で接種を開始することとされています。初回免疫は、27日間以上の間隔で3回皮下に注射し、追加免疫は3回目接種から60日間以上の間隔をおいて、かつ12か月齢以上(標準的には12か月以上15か月未満)に1回皮下に注射することとされています。ただし、2回目および3回目は2歳未満(標準的には1歳未満)までに終了させることとされており、2回目および3回目が2歳を超えた場合は接種しないことになっています(追加接種は可能)。

 また、標準的な時期(2か月齢以上7か月齢未満)に接種を開始できなかった接種もれ者に対しては、接種回数が異なります。
 1)7か月齢以上12か月齢未満で初回接種を開始する者:27日以上の間隔をあけて2回接種し、2回目から60日以上あけて、かつ12か月齢以降に1回追加接種します。ただし、2回目は24か月齢未満(標準的には12か月齢未満)までに終了させることとされており、2回目が24か月齢を越えた場合は行わないことになっています(追加接種は可能)。
 2)12か月齢以上24か月齢未満で初回接種を開始する者:60日以上の間隔をあけて2回接種します。
3)24か月齢以上5歳未満で初回接種を開始する者:1回接種します。

〇ワクチンの副反応
 接種部位の局所反応として腫れ、紅斑(淡紅色の発疹)、硬結(かたくなること)等が認められますが、おおむね軽度で自然に回復します。そのほか、全身的な副反応として、発熱、易刺激性(不機嫌になること)、傾眠状態(周囲からの刺激があれば 覚醒するが、すぐに意識が混濁する状態)等が認められます。

 平成25(2013)年10月28日〜平成26(2014)年2月28日までの副反応報告頻度は、医療機関からの報告が0.002%、製造販売業者からの報告が0.001%でした。接種人数のべ約175万人のうち、医療機関から副反応の報告があった33名は、うち17名が重篤症例(うち3名死亡)でした。

★PCV13は、平成26年6月20日付けで、65歳以上の者に対する肺炎球菌による感染症の予防の効能・効果が承認されました。PCV13を高齢者に対して、定期接種に使用するかどうかについては、今後ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果等に関するデータの収集を行い、科学的知見にもとづいて専門家による検討を行うこととしています。(出典:厚生労働省ホームページ肺炎球菌感染症(高齢者)Q12)

■23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン
予防接種対象とスケジュール
 
〇ワクチンの副反応
 接種後に注射部位の腫れや疼痛(ずきずきする痛み)、ときに軽微な発熱が見られることがありますが、通常1〜2日で消失します。平成25(2013)年7月1日〜12月31日までの副反応報告頻度は、医療機関からの報告が0.002%、製造販売業者からの報告が0.003%でした。接種人数のべ約113万人のうち、医療機関から副反応の報告があった27名は、うち7名が重篤症例(うち2名死亡)でした。

参考として
・国立感染症研究所ホームページ
・「予防接種に関するQ&A集」-一般社団法人日本ワクチン産業協会(岡部信彦 川崎市健康安全研究所所長、多屋馨子国立感染症研究所感染症疫学センター第三室(予防接種室)室長 )
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2014/11