手足口病の流行の様子<br />(2014年〜2021年第20週) 手足口病の流行の様子
(2014年〜2021年第20週)
 手足口病は、乳幼児を中心に、主に夏に流行をみせ、例年7月に患者報告数はピークを迎えます。

 口の中の粘膜や手・足などに小さな水泡性の発疹(水ぶくれ)が現れるのが特徴で、まれに、痛みやしびれを伴うこともあります。また、口の中にできた水泡性の発疹が潰れた痛みで、食事や水分の摂取が困難になり、脱水症状を引き起こすケースもあるため、注意が必要です。

 感染経路は、飛沫感染や接触感染のほか、排泄物を介してウイルスが口に入ることによる感染です。特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは更なる注意を要します。潜伏期間は3〜5日ほどで、大人でもかかる可能性があり、同居する家族にも感染することがあります。

 症状は一般的に軽く、ほとんどは数日間のうちに治る病気です。しかし、まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。

 大人がかかった場合にも、子どもと同様の症状がみられる一方で、発疹が消えるまでの期間が長く、中には数か月に渡って、症状が残る例もあります。また、治ってから、数週間〜1ヶ月後に手や足の爪が剥がれることがあります。剥がれたことに驚いて、皮膚科を受診した結果、手足口病と診断されることも珍しくありません。

 予防法は、飛沫感染を防ぐためにマスク着用が有効です。手洗いは流水と石けんで十分に行ってください。また、タオルの共用はしてはいけません。

患者報告数の動向

 国立感染症研究所が発表している速報データは以下の通りです。例年の流行のピークである7月に向けて今後の患者報告数の動向に注意が必要です。

 2021/5/17〜5/23(第20週)は、定点把握疾患(週報告)が244件(0.08)
 2021/5/24〜5/30(第21週)は、定点把握疾患(週報告)が228件(0.07)
 2021/5/31〜6/6(第22週)は、定点把握疾患(週報告)が239件(0.08)

地域別情報

 2021/5/31〜6/6(第22週)の速報データによる、定点当たり報告数が多い都道府県

 熊本県(0.48)
 奈良県(0.21)
 香川県(0.21)
 福岡県(0.19)
 栃木県(0.15)
 静岡県(0.15)

手足口病とは?

 この感染症の原因となるウイルスはエンテロウイルス属と呼ばれているウイルスの仲間であり、その中でもコクサッキーA16(CA16)、エンテロウイルス71(EV71)が主に手足口病を引き起こすウイルスとしてよく知られています。また、以前は主にヘルパンギーナの原因ウイルスとして認識されていたCA6による手足口病が近年は目立つようになってきています。このCA6による手足口病は、日本では2009年に最初の報告例があり、その後しばしば大きな流行を起こしています。

症状

 従来のCA16およびEV71による手足口病では、3〜5日間の潜伏期間の後に、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2〜3mmの水疱性発疹が現れます。発熱は約3分の1に認められますが、軽度であり高熱が続くことは通常はありません。また、3〜7日の経過で軽快し、水疱の跡が痂皮(かさぶた)となることもありません。

 一方、近年みられるようになったCA6による手足口病では、水疱が5mm程度と大きく、四肢末端に限局せずに前腕部から上腕部、大腿部から殿部と広範囲に認められ、発熱も39℃を上回ることも珍しくなく、水痘との鑑別が困難な例もあります。また、手足口病を発症して治癒した後に、数週間を経て上下肢の爪が脱落する爪甲脱落症を来す場合があり、CA6を原因とする手足口病の特徴となっています。

感染経路

 手足口病の感染経路としては飛沫感染、接触感染、糞口感染があげられます。

治療方法

 特異的な治療法はなく、抗菌薬の投与は意味がありません。発疹に痒み(そう痒感)などを伴うことは稀であり、抗ヒスタミン薬の塗布を行うことはありますが、通常は外用薬としての副腎皮質ステロイド剤は用いられません。口腔内病変を伴いますので、乳幼児の場合は刺激にならないように柔らかめで薄味の食べ物が奨められますが、水分が不足しないように、経口補液などで水分を少量頻回に与えることのほうがより重要です。発熱に対しては、通常は解熱剤なしで経過観察が可能です。

 しかし、元気がない(ぐったりしている)、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱などの場合には髄膜炎、脳炎など中枢神経系の病変の合併に注意する必要があります。

予防法

 保育所や幼稚園などの乳幼児施設においての流行時の感染予防は手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本となります。しかし、症状が回復した後も比較的長期間に渡って便などからウイルスが排泄されることがあり、加えて流行時には無症状病原体保有者も相当数存在していると考えられるため、発症者のみを隔離したとしても、効果的な感染拡大防止策となるとは考え難いです。

 基本的には軽症疾患であることを踏まえ、回復したお子さんに対して長期間の欠席を求めることも得策ではありません。

感染症予防接種ナビでは、みなさまから手足口病の経験談を募集しています。

引用:厚生労働省「手足口病に関するQ&A」

文:感染症ニュース取材班