3月に要注意の感染症として「新型コロナウイルス感染症」。乳幼児期に気をつけてほしいRSウイルス感染症。小児の集団生活で気をつけてほしいA群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) 。これから流行のピークを迎えるロタウイルス感染症 について、流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。

流行の傾向と感染対策

【要注意】新型コロナウイルス感染症
 全国的に新規感染者の減少は続いているものの、特に都市部では減少スピードの遅れが懸念されています。新型コロナワクチンが承認され、接種が開始されましたが、集団免疫の効果がみられるまでには、まだしばらく時間がかかると思われます。

 感染者が減少傾向にある地域においても、感染の再拡大を防ぐため引き続き徹底した感染予防対策が必要です。これから年度末に向け、人が集まる行事等が増えるシーズンを迎えますが、大人数での会食等はしばらくは控えるべきです。そして、飛沫による感染を防止するため、引き続きマスクを着用しましょう。

【No.1】RSウイルス感染症
 九州や大阪など西日本を中心に、感染の増加傾向がみられています。今後の感染者の推移に注意してください。

 RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスが伝播することによって発生する呼吸器感染症です。感染力が強く、発症の中心は0歳児と1歳児で、2歳までにほぼ100%の小児が初感染を受けるとされています。また生涯にわたって何度も顕性感染を繰り返すといわれています。

 感染すると、発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日間続き、初感染した小児の20〜30%にその後、下気道症状があらわれると言われています。乳幼児期においては特に注意が必要な疾患であり、生後数週間〜数か月間の時期においては母体からの移行抗体が存在するにもかかわらず、下気道の炎症を中心とした重篤な症状を引き起こします。

 感染経路は飛沫感染と接触感染です。咳などの呼吸器症状がある場合は飛沫感染対策としてマスクを着用して子どもたちに接することが大切です。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃや手すり等をこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗い又はアルコール製剤による手指の衛生を徹底してください。

【No.2】A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は学童期の小児に最も多く、学校などの集団生活で気をつけてほしい感染症です。

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) に感染すると、2日から5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナウイルス感染症の症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。

 主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。

 ワクチンは、まだ実用化されていません。感染の予防には、手洗い、うがい、咳エチケットなどが有効です。

【No.3】ロタウイルス感染症
 ロタウイルス感染症は、年齢にかかわらず何度でも感染しますが、症状は初感染時が最も重症で、その後感染を繰り返すにつれて軽症化し、不顕性感染(感染しても症状が出ないこと)も多くみられます。顕性発症は5歳未満の乳幼児に多くみられます。近年の日本での流行のピークは3月〜5月です。

 主な症状として、嘔吐と下痢、発熱があげられます。典型例では病初期に嘔吐と発熱がみられ、続いて下痢が始まります。嘔吐は特徴的症状で、突然起こり、これを契機に医療機関を受診するケースが多く見られます。下痢は水様性から泥状です。患児の半数近くにみられる白色〜黄白色便は特徴的ですが、同様の色調はノロウイルス感染症についてもみられるため、注意が必要です。発熱の持続は2日を超えることは少なく、多くが半日〜1日です。

 ロタウイルス感染症には有効的な治療法がありません。対症療法が中心となり、嘔吐や下痢に伴う脱水や電解質異常に対して、経口または経静脈的に補液が行われます。

 現時点で有効な予防法はなく、4〜5歳までにほとんどの子どもが感染します。間接接触による感染が多いことから、罹患児の隔離、感染源である糞便やおむつの適切な処理、衛生的な手洗い(特に母親と医療従事者)、汚染された衣服の次亜塩素酸消毒などを徹底する必要があります。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏