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発熱と呼吸器系に注意 発熱と呼吸器系に注意
 冬にかけてRSウイルス感染症や溶連菌による感染症の患者が増えてくる時期です。共に発熱やのどなどの呼吸器系に炎症が見られるなど新型コロナウイルス感染症の症状と区別がつきにくい可能性もあります。学校での感染例も多いため、患者との接触や飛沫には十分注意が必要です。

【RSウイルス感染症】

症状

 主な症状は感染してから2~8日後に発症。発熱や鼻水などの症状が数日続きます。多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなったり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。

予防法

 RSウイルス感染症の予防法は、手洗い、咳エチケットなどが有効ですが、乳幼児自身が予防することは難しいです。そのため、咳などの症状がある年長児や大人には、0歳児、1歳児のお世話はすすめられません。しかしながら、お世話をしなければならないときは、手洗いやマスクの装着などで乳児に感染させないように気をつけましょう。

▼RSウイルス感染症について詳しく見る

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【A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)】

症状

 溶連菌感染症は、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な症状が現れることは少ないといわれています。

 症状としては2~5日の潜伏期間を経て、38度以上の発熱と全身倦怠感、のどの痛みによって発症し、しばしばおう吐を伴います。

 また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発しんが広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。また、十分な抗菌薬の投与による治療をおこなわないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などを引き起こすことが知られています。

予防

 予防のためのワクチンは、まだ実用化されていません。

 予防には、手洗い、咳エチケットなどが有効です。

▼溶連菌感染症について詳しく見る

▼「学校、幼稚園、保育所で予防すべき感染症感染症毎の登校」について詳しく見る

登校・登園基準

 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会2018年7月改訂版『学校、幼稚園、保育所で予防すべき感染症』によると、溶連菌感染症の登校、登園基準は「適切な抗菌薬による治療開始後24時間以降適切な抗菌薬による治療開始後24時間以内に感染力は失せるため、それ以降、登校(園)は可能である。」とされています。

 厚生労働省の「2018年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」では、抗菌薬内服後24~48時間経過していることと記載されています。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏