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図:麻しん(はしか)定点当たり報告数<br />情報元:IDWR 2月4日〜2月10日(第6週) 図:麻しん(はしか)定点当たり報告数
情報元:IDWR 2月4日〜2月10日(第6週)
 大阪を中心とした麻しん(はしか)の患者発生が継続中です。麻しんは本来、春から夏にかけて流行する感染症であり、この状態が続けば関西地方の流行がさらに広域に拡大していくことが危惧されます。麻しんの2019年のこれまでの患者報告数は、2013年以降の同時期と比べて最も多い報告数となっています。特に流行の中心となっている大阪府では、患者発生が継続しており、収束の兆しは見えていません。現状のままでは関西地方のみならず、さらに広範囲に流行が拡大していくことが危惧されます。今回の大阪で発生している麻しん患者の半数以上が、ワクチン未接種者かワクチン接種不明者です。麻しんの予防には、麻しん含有ワクチンの接種が最も重要であることに変わりはありません。

地域別情報

 2019/2/4〜2/10(第6週)の速報データによると患者数が多い都道府県ランキング
 ・三重県(49)
 ・大阪府(47)
 ・愛知県(17)
 ・東京都(11)
 ・神奈川県(6)

 ( )内の数字は2019年の累積患者報告数です。

概要

 麻しんは「はしか」とも呼ばれ、パラミクソウイルス科に属する麻しんウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹性の感染症です。麻しんウイルスは人のみに感染するウイルスであり、感染発症した人から人へと感染していきます。感染力は極めて強く、麻しんに対して免疫がない人が麻しんウイルスに感染すると、90%以上が発病し、不顕性感染は殆どないことも特徴の1つです。

症状

 典型的な麻しんの発症例では、感染後10〜14日間の潜伏期を経て、以下の経過をたどります。

 (1)カタル期:38℃前後の発熱、上気道炎症状等、経過中に頬粘膜にコプリック斑出現

 (2)発疹期:39℃以上の発熱、頭頚部より発疹が出現して全身に広がる

 (3)回復期
 カタル期が最も感染力が強い時期となっており、カタル期で麻しんであることに気づかずに行動することが、感染を広げる原因となります。

 合併症として肺炎、中耳炎、脳炎、心筋炎等があり、2000年に大阪で麻しんが流行した際には入院率は40%を超えました。未だに有効な治療方法はありません。

感染経路

 麻しんは麻しんウイルスが人から人へ感染していく感染症です。他の生物は媒介しません。人から人への感染経路としては空気(飛沫核)感染の他に、飛沫感染、接触感染もあります。麻しんは空気感染によって拡がる代表的な感染症であり、その感染力は強く、1人の発症者から12〜14人に感染させるといわれています。麻しん発症者が周囲の人に感染させることが可能な期間(感染可能期間)は、発熱等の症状が出現する1日前から発疹出現後4〜5日目くらいまでです。学校保健安全法施行規則では、麻しんに罹患した場合は解熱後3日間を経過するまで出席停止とされています。

予防

 麻しんは空気(飛沫核)感染する感染症です。麻しんウイルスの直径は100〜250nmであり、飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染しますので、マスクを装着しても感染を防ぐことは困難です。麻しんの感染発症を防ぐ唯一の予防手段は、予めワクチンを接種して麻しんに対する免疫を獲得しておくことです。

麻しん(はしか)について詳しく見る▼

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏