「知ってなっ得!感染症の予防」より 「知ってなっ得!感染症の予防」より
 これまで、大阪、沖縄、愛知県等の 国内の麻しんの流行の中心は20代、30代の成人です。これからも全国各地で20代、30代の成人を中心とした麻しんの流行が発生していく可能性があります。

 2017年3月〜2018年2月までの1年間での世界での麻しん発生状況では、インド、インドネシア、フィリピン等の南および東南アジア、中央アフリカ、ヨーロッパ諸国において麻しん患者らが多数発生しています。ゴールデンウイークでこれらの地域から帰国した際も注意が必要です。麻しんの可能性がある場合は、予め医療機関に連絡をしてから受診しましょう。

 麻しんの感染発症を防ぐ唯一の予防手段は、予めワクチンを接種して麻しんに対する免疫を獲得しておくことです。麻しんと風しんの混合ワクチンを1度接種すると95%、2度接種すると99%の免疫がつきます。予防接種スケジュールを過ぎても一度もワクチンを接種していない方は、ワクチンの接種をお勧めします。

2017年9月〜2018年2月の麻しん発生国別ランキング(WHOホームページより)


1.インド…18,515件
2.ウクライナ…6,184件
3.ナイジェリア…3,157件
4.セルビア…2,822件
5.パキスタン…2,822件
6.インドネシア…1,959件
7.ギリシャ…1,740件
8.フィリピン…1,684件
9.中国…1,567件
10.マレーシア…1,167件

概要

 麻しんは「はしか」とも呼ばれ、パラミクソウイルス科に属する麻しんウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹性の感染症です。麻しんウイルスは人のみに感染するウイルスであり、感染発症した人から人へと感染していきます。感染力は極めて強く、麻しんに対して免疫がない人が麻しんウイルスに感染すると、90%以上が発病し、不顕性感染は殆どないことも特徴の1つです。

症状

 典型的な麻しんの発症例では、感染後10〜14日間の潜伏期を経て、以下の経過をたどります。

(1)カタル期:38℃前後の発熱、上気道炎症状等、経過中に頬粘膜にコプリック斑出現

(2)発疹期:39℃以上の発熱、頭頚部より発疹が出現して全身に広がる

(3)回復期
 カタル期が最も感染力が強い時期となっており、カタル期で麻しんであることに気づかずに行動することが、感染を広げる原因となります。

 合併症として肺炎、中耳炎、脳炎、心筋炎等があり、2000年に大阪で麻しんが流行した際には入院率は40%を超えました。未だに有効な治療方法はありません。

感染経路

 麻しんは麻しんウイルスが人から人へ感染していく感染症です。他の生物は媒介しません。人から人への感染経路としては空気(飛沫核)感染の他に、飛沫感染、接触感染もあります。麻しんは空気感染によって拡がる代表的な感染症であり、その感染力は強く、1人の発症者から12〜14人に感染させるといわれています。麻しん発症者が周囲の人に感染させることが可能な期間(感染可能期間)は、発熱等の症状が出現する1日前から発疹出現後4〜5日目くらいまでです。学校保健安全法施行規則では、麻しんに罹患した場合は解熱後3日間を経過するまで出席停止とされています。

予防

 麻しんは空気(飛沫核)感染する感染症です。麻しんウイルスの直径は100〜250nmであり、飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染しますので、マスクを装着しても感染を防ぐことは困難です。麻しんの感染発症を防ぐ唯一の予防手段は、予めワクチンを接種して麻しんに対する免疫を獲得しておくことです。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則