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2019年の1月に注意してほしい感染症についてはこちらから


1月に注意してほしい感染症

No1・インフルエンザ…冬季休暇明け年明け1月8日の週以降は再び患者数は急増し、本格的な流行時期に入っていくことが予想されます。

No2・ノロウイルス感染症…ノロウイルス感染症を中心とした感染性胃腸炎は、例年12月流行のピークですが、1月以降も引き続き注意が必要です。

No3・溶連菌感染症…この冬の流行は例年よりも規模が大きくなることが予想されます。1月も引き続き注意をしてください。

No4・RSウイルス感染症…流行のピークは、過ぎましたが、冬季も流行は継続しています。1月以降もRSウイルス感染症にはご注意ください。

感染症ごとに、更に詳しくみていきましょう。

インフルエンザ

 12月は比較的大きな流行となりました。冬季休暇明け年明け1月8日の週以降は再び患者数は急増し、本格的な流行時期に入っていくことが予想されます。今後ともインフルエンザの患者発生状況には注意が必要です。

 インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快しますが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。主な感染経路は、くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染です。他に接触感染もあるといわれています。

 インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。予防接種を受けることで、発症率、重症化率の低減につながると言われています。インフルエンザの感染対策とてしては、飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト―ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。

インフルエンザ

ノロウイルス感染症

 ノロウイルス感染症を中心とした感染性胃腸炎は、例年12月流行のピークですが、1月以降も引き続き注意が必要です。ノロウイルス感染症の主な症状は、はき気、おう吐及び下痢です。通常は便に血液は混じりません。あまり高い熱とならないことが多いです。小児ではおう吐が多く、おう吐・下痢は一日数回からひどい時には10回以上の時もあります。感染してから発病するまでの潜伏期間は、1~2日です。ノロウイルスにはワクチンもなく、その感染を防ぐことは簡単ではありません。そして特に子ども達や高齢者には簡単に感染して発病します。最も重要で、効果的な予防方法は「流水・石けんによる手洗い」です。

ノロウイルス感染症

ノロウイルス感染症吐物処理法を解説

溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)

 この冬の流行は例年よりも規模が大きくなることが予想されます。1月も引き続き注意をしてください。
  
 溶連菌感染症は、子どもがかかりやすく、発疹が出る感染症です。主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)由来の飛沫による飛沫感染と濃厚な直接接触による接触感染です。物品を介した間接接触による感染はまれですが、患者、保菌者由来の口腔、もしくは鼻腔由来の体液が明らかに付着している物品では注意が必要です。予防のためのワクチンはまだ実用化されていません。予防には、手洗い、咳エチケットなどが有効です。

溶連菌感染症

RSウイルス感染症

 流行のピークは、過ぎましたが、流行は冬季も継続しています。1月以降もRSウイルス感染症にはご注意ください。

 RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスが伝播することによっておこる呼吸器感染症です。潜伏期間は2~8日、一般的には4~6日で発症します。多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなったり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。

 特に気をつけなければならないのが、生後数週間から数か月の赤ちゃんがRSウイルスに感染することです。感染すると、気管支炎、肺炎などを起こすことがあり、1~3%が重症化すると言われています。RSウイルス感染症の感染経路はインフルエンザと同様、「飛沫感染」や「接触感染」です。RSウイルス感染症のワクチンはまだ実用化されていません。予防法は、手洗い、咳エチケットなどが、有効です。RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は症状を和らげる対症療法になります。

RSウイルス感染症

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏