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2018年の12月に注意してほしい感染症についてはこちらから


 12月に注意してほしい感染症

 No1・インフルエンザ
 No2・ノロウイルス感染症
 No3・溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)
 No4・咽頭結膜熱

インフルエンザ

 既に全国的な流行開始となっています。12月は更に流行拡大が予想されます。インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快しますが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。主な感染経路は、くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染です。他に接触感染もあるといわれています。インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。予防接種を受けることで、発症率、重症化率の低減につながると言われています。インフルエンザの感染対策とてしては、飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。

インフルエンザ

ノロウイルス感染症

 例年12月流行のピークとなっています。昨年ほど大きな流行とはならないと予想されますが、今後も注意が必要です。

 ノロウイルス感染症の主な症状は、はき気、おう吐及び下痢です。通常は便に血液は混じりません。あまり高い熱とならないことが多いです。小児ではおう吐が多く、おう吐・下痢は一日数回からひどい時には10回以上の時もあります。感染してから発病するまでの潜伏期間(せんぷくきかん)は 1~2日です。ノロウイルスにはワクチンもなく、その感染を防ぐことは簡単ではありません。そして特に子ども達や高齢者には簡単に感染して発病します。最も重要で、効果的な予防方法は「流水・石けんによる手洗い」です。

ノロウイルス感染症

ノロウイルス感染症吐物処理法を解説

溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)

 例年、12月は夏に次ぐもう一つの流行のピークとなる時期です。ご注意を!

 溶連菌感染症は、子どもがかかりやすく、発疹が出る感染症です。主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)由来の飛沫による飛沫感染と濃厚な直接接触による接触感染です。物品を介した間接接触による感染はまれですが、患者、保菌者由来の口腔、もしくは鼻腔由来の体液が明らかに付着している物品では注意が必要です。予防のためのワクチンはまだ実用化されていません。予防には、手洗い、咳エチケットなどが有効です。

溶連菌感染症

咽頭結膜熱

 例年12月に流行のピークとなりますが、過去10年間の同時期としては、最も大きい流行となっています。十分ご注意ください。

 咽頭結膜熱の感染経路は、主に接触感染や飛沫感染です。原因ウイルスは、アデノウイルスで、感染力は強力です。直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接接触でも感染が広がります。通常感染してからの潜伏期間は5~7日。症状がある期間は3~5日といわれています。アデノウイルスは、環境中で数日間活性を保っているため、施設やご家庭などで患者が発生している場合は、皆がよく手を触れるものを中心に消毒を行うことも重要な感染対策です。

咽頭結膜熱

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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏