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図.感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症含む)流行の様子<br />情報元:IDWR2017年10月16日~10月22日(第42週) 図.感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症含む)流行の様子
情報元:IDWR2017年10月16日~10月22日(第42週)
 例年、11月・12月の流行のピークに向けてノロウイルス感染症の患者数が増加していきます。

 2016年は9年ぶりに大きな流行となりました。

 これからのノロウイルス感染症の本格的な流行時期に向けて注意が必要です。

 ノロウイルス感染症には、予防接種のワクチンも抗ウイルス薬も実用化しているものがありません。ウイルスが感染して発症してしまうと、整腸剤などの対症療法しかないのが現状です。ノロウイルス感染症の感染予防策として大切なことは、接触感染を防ぐための流水・石鹸による手洗いが一番重要です。手洗いはしっかりと行いましょう。

地域別情報

 2017年10月16日~10月22日(第42週)の速報データによると、定点当たり報告数が最も多いのは宮崎県、次いで大分県、愛媛県、福岡県、岡山県の順となっています。

症状

 主な症状は、はき気、おう吐及び下痢です。通常は便に血液は混じりません。あまり高い熱とならないことが多いです。小児ではおう吐が多く、おう吐・下痢は一日数回からひどい時には10回以上の時もあります。感染してから発病するまでの「潜伏期間(せんぷくきかん)」は1~2日と他の感染症と比較して短い方であり、症状の持続する期間も数時間~数日(平均1~2日)と比較的短期間です。

感染経路

 以前は、食中毒としての「経口感染」がよく知られていましたが、患者や無症状病原体保有者との「直接」もしくは「間接的接触」による「接触感染」や、患者のおう吐物や下痢便を介した飛沫感染等の「ヒト―ヒト感染」があります。その感染力は非常に強いものです。乳幼児の集団生活施設である保育所や幼稚園、小児の集団生活施設である小学校等においては、これら接触感染や飛沫感染等により、集団発生が繰り返されてきているものと推察されます。

予防法

 ノロウイルス感染症にはワクチンもなく、その感染を防ぐことは簡単ではありません。最も重要で、効果的な予防方法は「流水・石けんによる手洗い」ですが、他にも様々な注意すべきことがあります。

 今回は、その中でも「最も重要で効果的な予防方法」である「手洗いの方法」を知っておきましょう。

<正しい手洗いのしかた>
1.しっかりと石けんを泡立てる。
2.手のひらをしっかりとこすりあわせて洗う。
3.指の間を手を交互に入れ替えて洗う。
4.手の甲を左右とも手のひらでこすって洗う。
5.爪の先を手のひらでこするようにして爪の間もしっかりと洗う。
6.親指の付け根をしっかりとねじり洗い。
7.両方の手首をしっかりとねじって洗う。

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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏