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図.RSウイルス感染症流行の様子<br />情報元:IDWR2017年第33週(2017年8月14日~2017年8月20日) 図.RSウイルス感染症流行の様子
情報元:IDWR2017年第33週(2017年8月14日~2017年8月20日)
2018年の9月に注意してほしい感染症についてはこちらから

 9月に注意してほしい感染症は、

 No1・RSウイルス感染症
 No2・腸管出血性大腸菌感染症
 No3・手足口病
 No4・ヘルパンギーナ

 では、これらの感染症を詳しく見ていきましょう。

RSウイルス感染症

 すでに8月より本格的な流行となっていますが、本格的な流行期間が9月以降も継続していくと予想されます。

 RSウイルス感染症は乳児、または若年の幼児にとって時に重症化する可能性のある感染症です。

 生後1か月未満でも感染する可能性があり、無呼吸の原因になることがあります。

 また、感染しても症状が軽度である年長児や大人からの濃厚接触で乳児に感染することがあります。

 流行期間中に軽い上気道炎があり、感染している可能性がある方が乳児に接触する場合は、手洗いやマスクの装着などで乳児に感染させないように気をつけてください。

【かかりつけ医に相談したほうが良い症状】

 ●息がゼイゼイと呼吸が苦しそうになる。
 ●咳で何回も夜中に起きる。
 ●熱が下がっても症状が改善されない。
 ●咳込んで嘔吐してしまう

 ※悪化するときには、発熱はあまり関係がありません。

RSウイルス感染症

腸管出血性大腸菌感染症

 例年8月から9月は患者数が多くなる時期です。

 牛の生肉、生レバーを食すべきではないことはもちろん、火の通っていない食材を取り扱ったり、食べたりする際にも注意が必要です。

 感染後3~5日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様性の下痢が起こり、その後で血便となります(出血性大腸炎)。発熱は軽度です。血便は、初期段階では、少量の血液の混入で始まりますが、次第に血液の量が増加し、典型例では血液そのもののような状態となります。

 主な感染経路は、腸管出血性大腸菌によって汚染された食材や水分を経口摂取することによる経口感染です。例年、腸管出血性大腸菌の感染者の報告数は、0~4歳児が最多です。5~9歳がこれに次いで多い状況です。感染後の発症率も9歳以下は80%前後と高くなっています。

腸管出血性大腸菌感染症

手足口病

 流行のピークは過ぎ、減少傾向となっていますが、まだ患者数が多い状態が続いています。

 年齢別にみると5歳以下が流行の中心であり、感染症発生動向調査の小児科定点医療機関からの報告によると、2歳以下からの報告数が全体の約半数を占めています。

 特異的な治療法はなく、抗菌薬の投与は意味がありません。

 手足口病の感染経路としては飛沫感染、接触感染、糞口感染があげられます。保育園や幼稚園などの乳幼児施設においての流行時の感染予防は手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本となります。

手足口病

ヘルパンギーナ

 流行のピークは過ぎましたが、患者数が多い状態が続いています。

 ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎です。乳幼児を中心に夏季に流行する、いわゆる夏かぜの代表的疾患です。

 2~4日の潜伏期を経過し、突然の発熱に続いて咽頭痛が出現し、咽頭粘膜の発赤が顕著となり、口腔内、主として軟口蓋から口蓋弓にかけての部位に直径1~2mm 、場合により大きいものでは5mmほどの赤い充血で囲まれた小水疱が出現します。

 特異的な治療法はなく通常は対症療法のみです。特異的な予防法はありませんが、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどがあります。

ヘルパンギーナ

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏