図.腸管出血性大腸菌感染症 流行の様子<br/>情報元:IDWR2017年第30週(2017年7月24日〜2017年7月30日) 図.腸管出血性大腸菌感染症 流行の様子
情報元:IDWR2017年第30週(2017年7月24日〜2017年7月30日)
 腸管出血性大腸菌感染症の1週当たり報告数は7月に入ってほぼ横ばい状態が続いていましたが、第30週(7月24日〜7月30日)に入って急増し、176人(累積報告数1215人)となりました。

 8月はさらに患者発生数が増加する可能性が高く、腸管出血性大腸菌感染症の推移には注意が必要です。

 原因となる腸管出血性大腸菌は牛や羊などの偶蹄目(ぐうていもく)の腸管に常在すると言われています。

 これらの動物の生肉や生レバーを食べないことはもちろんですが、予防のために肉を切ったままの包丁やまな板は熱湯で消毒する、また調理後の手洗いを厳重におこなうなどの対策を心がけてください。

 例年、腸管出血性大腸菌の感染者の報告数は、0〜4歳児が最多です。
 
 5〜9歳がこれに次いで多い状況です。

 特に重症化すると命にかかわる場合があるので、注意が必要です。

症状と合併症

 感染後3〜5日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様性の下痢が起こり、その後で血便となります(出血性大腸炎)。発熱は軽度です。血便は、初期段階では、少量の血液の混入で始まりますが、次第に血液の量が増加し、典型例では血液そのもののような状態となります。

 発病者の6〜9%では、下痢などの最初の症状が出てから5〜13日後に溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重篤な合併症をきたすことが知られています。HUSを合併した場合の致死率は3〜5%といわれています。

感染経路と対策

 主な感染経路は、腸管出血性大腸菌によって汚染された食材や水分を経口摂取することによる経口感染です。

 例年、腸管出血性大腸菌の感染者の報告数は、0〜4歳児が最多です。5〜9歳がこれに次いで多い状況です。感染後の発症率も9歳以下は80%前後と高くなっています。

 牛の生肉や生レバーなどの内臓は、腸管出血性大腸菌の感染の可能性があるので食べるべきではありませんが、特に保育所に通っている年齢群の乳幼児では厳禁です。特に高齢者や乳幼児と日常的に接触する職業や立場の人(家庭も含めて)、あるいは免疫力の低下した人と接触する職業・立場の人は厳に慎むべきです。

衛生管理

 腸管出血性大腸菌は75℃で1分間過熱で死滅するので、食事はしっかりと過熱したものを供することが基本です。

 また焼肉などでは、生肉を扱った箸やトングなどは生食用のものと使い分けましょう。

 以前より野菜類(生野菜はもとより浅漬けなど)やそれ以外の加工食品(最近ではお団子の食中毒)での集団発生がみられることがあります。施設に提供され、そのまま加熱処理等が行われないままに供される食材の衛生管理は、納入業者と連携してしっかりと行われなければなりません。

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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏