図. 各シーズンのインフルエンザ推定患者数 週別推移(2017年は第4週まで)<br />監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏 図. 各シーズンのインフルエンザ推定患者数 週別推移(2017年は第4週まで)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
 インフルエンザ推定受診者数は、前週を大幅に上回り約144万人となりました。薬局サーベイランスが始まって以来の最高値となりましたが、2月以降はさらに患者数が増加する可能性があります。今後ともインフルエンザの患者発生の推移には十分な注意が必要です。

流行のようす

 薬局サーベイランスによると、2017年第4週(1月23日~29日)の全国のインフルエンザ推定受診患者数は、前週の推定値(1,056,239人)よりもさらに大きく増加して1,439,807人となりました。2週連続して100万人を上回るとともに、2008年に本サーベイランスが始まって以来の最高値を記録しました。

 休日明けの月曜日(1月30日)の推定受診者数は370,432人と、やはり今シーズンの最高値を8万人近く上回り、2月以降は更に患者数は増加する可能性があります。

都道府県別情報

 人口1万人当たりの1週間の推定受診者数は、福井県、徳島県、大分県、岡山県、岐阜県、広島県、奈良県、宮崎県、三重県、静岡県、熊本県、愛知県、兵庫県の順です。流行の大きな地域は西日本が多くなっており、岩手県を除く46都道府県で前週よりも増加しています。

年齢別情報

 今シーズン累積の推定患者数は4,874,164人であり、日本の人口推計値(2016年11月1日現在、1億2695万人)で換算すると、累積の罹患率は約3.84%となりました。

 年齢群別で比較すると5~9歳(11.91%、632,211人)、10~14歳(11.66%、641,515人)、15~19歳(8.04%、480,874人)、0~4歳(7.54%、387,304人)、20~29歳(4.05%、514.489人)、30~39歳(3.63%、552,104人)、40~49歳(3.25%、616,806人)、50~59歳(2.83%、435,075人)、60~69歳(1.70%、311,924人)、70歳以上(1.23%、301,863人)の順となっています。

 5~14歳の年齢群の累積罹患率は既に11%を上回って流行の中心となっていますが、一方で全ての年齢群で患者数が増加しています。また70歳以上の罹患率は他の年齢群よりも低いものの、推定受診者数は30万人を上回っており、罹患後の重症化率が高い年齢群であることから注意が必要です。

ウイルスの型

 国立感染症研究所によると、今シーズンこれまでのインフルエンザ患者由来検体から検出されたインフルエンザウイルス(1,763検体解析)は、A/H3(A香港)亜型が90.9%と大半を占めており、次いでA/H1pdm 6.1%、B型3.0%の順となっています。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2017/1/31