図1.麻しん 2016年第1週~第34週 週別報告数<br />監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏 図1.麻しん 2016年第1週~第34週 週別報告数
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
 関西空港の麻しん(はしか)の集団発生は30名以上と大きなものとなっており、今後地域的な感染の拡大が懸念されています。

 1歳を超えていて、まだ麻しんのワクチン(MRワクチンなど)を接種されていないお子さまがいる場合は、ただちにワクチンの接種をおこなってください。

 麻しんは広範囲に空気感染する感染症であり、また、一旦発熱すると一週間以上高熱が続き、入院を要することも珍しくありません。

 加えて、お子さまの場合は肺炎や脳炎などの合併症によって生命に関わることもあります。

 有効な治療法はなく、唯一の予防手段はワクチンの接種のみです。


図2.関西国際空港内での麻しん患者発生状況(9月7日現在)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

地域別情報

 2016年第34週(8/22~8/28)の速報データによると、兵庫県(3件)・千葉県・大阪府(各2件)・ほか三重県・滋賀県(各1件)で感染報告が上げられています。

予防

 麻しんは空気(飛沫核)感染する感染症です。

 麻しんウイルスの直径は100~250nmであり、飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染しますので、マスクを装着しても感染を防ぐことは困難です。

 麻しんの感染発症を防ぐ唯一の予防手段は、予めワクチンを接種して麻しんに対する免疫を獲得しておくことです。

修飾麻しんとは

 麻しんに対する免疫は持っているけれども、不十分な人が麻しんウイルスに感染した場合、軽症で非典型的な麻しんを発症することがあります。

 このような場合を『修飾麻しん』と呼んでいます。

 例えば「潜伏期が延長する」「高熱が出ない」「発熱期間が短い」「コプリック斑(※)が出現しない」「発疹が手足だけで全身には出ない」「発疹は急速に出現するけれども融合しない」などです。

 感染力は弱いものの、周囲の人への感染源になるので注意が必要です。

※口のなかの頬の裏側に出現する、やや隆起した1mm程度の小さな白色の小さな斑点。麻しんに特徴的。

麻しん(はしか)について詳しく見る▼

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2016/09/08