流行地域は注意 流行地域は注意
厚生労働省が、2025年2月14日に発表した第6週(2/3-2/9)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は5.82。前週の6.06から微減となりました。
都道府県別にみると、北海道(7.80)・岩手県(7.44)・宮城県(7.12)・福島県(7.23)・茨城県(7.93)・栃木県(7.29)・埼玉県(7.85)・千葉県(7.31)など、関東・東北地方で患者報告数が多くなっています。その他長野県(7.80)・岐阜県(7.08)・愛知県(8.15)・鳥取県(8.10)・愛媛県(7.53)で定点7を超えています。今回は、『感染症・予防接種ナビ』に寄せられた66歳の方の経験談をご紹介します。

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新型コロナ経験談 66歳 東京都

1/27夜から喉が急に痛くなって先週毎日歌ってたから喉を酷使したので、そのせいかなぐらいに思っていました。翌日の朝も痛く、なんとなく気になって体温計で熱を測ったら37.2度あり水曜日まで微熱と平熱くらいしか上がらなかったのでまさかコロナ陽性とは思っていませんでした。金曜日に咳が出始めそして喉の痛みも治まらず熱も37.4でした。土曜日近くの耳鼻咽喉科に行って先生の診察受ける前の看護師の問診でコロナではなさそうだけど検査受けますかと言われお願いしたらコロナ陽性でした…。発症から9日がすぎましたが、咳がずっと止まらず睡眠や仕事に困っています。咳止めの薬と痰を取る薬をいただきましたが効いているのか分かりません。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「新型コロナの定点報告は、5.82となりました。2024年末から、増減を繰り返しながら、2月中旬まで横ばい状況が続いています。XECと呼ばれる変異株の検出割合は増加する一方で、患者報告数が大きく下がることも無いため、今後の予測が非常に困難です。今回、お寄せ頂いた経験談についてですが、換気が悪い密室に近い環境で、歌を楽しまれた場合、感染リスクは高くなります。直接、診察した訳ではないので、分からない部分もありますが、今回の方は、咽頭痛から発熱し、咳が長引いているとのことですね。医師の判断で、咳止めと去痰剤での対症療法となったようですが、本人の健康状態が分からないことなどから、実際に診察しないと判断が難しいところです。対症療法を選択した場合、咳などの症状が、長引き、症状が収まるまでに一か月ほどかかった例もあります。あまりに咳が長引くようでしたら、かかりつけ医に相談してみてください」としています。

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫、またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。

新型コロナウイルス感染症関連死亡例は、年間約5〜6万人

厚生労働省では、COVID-19関連死亡数について公表しています。それによると、新型コロナウイルスが、最も死亡に影響を与えて亡くなった例が、2022年は約3万4千人、2023年は約2万5千人。また、新型コロナウイルスが直接の死因には関係していないが、影響を及ぼして亡くなった例が、2022年は約2万6千人、2023年は約2万4千人いました。合計すると2022年は約6万人が、2023年には約5万人が新型コロナに関連して亡くなっています。
安井医師「これほど死亡例の多い感染症は、国内には他にありません。2023年5月に5類感染症になったことから、インフルエンザなど他の感染症と同じような印象を持たれる方も多いと思いますが、社会の一部の声を鵜呑みにすることは危険と考えています。特に高齢者、基礎疾患のある方にとって、新型コロナウイルスは命に関わる感染症です。また後遺症に苦しまれている方もいらっしゃいますし、引き続き感染対策や臨床現場での治療は高い意識を持って臨むことが重要であると考えています」

冬場も部屋の換気を忘れずに!

新型コロナウイルス感染症とともに、インフルエンザも流行拡大の兆しがあります。予防の一つとして、部屋の換気があります。寒くなりましたが、定期的に部屋の空気を入れ替えるよう心がけましょう。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について2025年第6週
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏