厚生労働省が、2024年12月13日に発表した第46週(12/2-8)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は3.07。前週の2.42から増加しました。都道府県別にみると、秋田県(9.31)・北海道(9.27)・岩手県(8.21)・山梨県(6.00)・青森県(6.03)・長野県(5.13)で、定点5を超えています。北海道・東北地方での患者報告数が多くなっており、流行エリアでは、注意が必要です。現状について、感染症に詳しい医師を取材しました。
【2024年】12月に注意してほしい感染症!インフルエンザの動向に要注視マイコプラズマ肺炎は過去最多を更新医師「首都圏は伝染性紅斑に注意」
■感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「新型コロナウイルス感染症の患者報告数が、全国的に増加しています。本格的に、寒さが厳しくなってきていますが、今後、どのような動向を示すのか、注視しています。2024年冬季の患者発生数の推移、過去の流行の経過等をみていると、今後、患者発生数は、2024年12月~来年の2月に流行期を迎えると予測されます。冬の流行規模は予測しづらいですが、新たな変異株であるXECが流行の主流株となる場合は、ある程度規模の大きな流行となると考えています。北海道・東北での患者報告数が多くなっていますが、九州や、東京・大阪と言った大都市では、一定の患者報告数は、あがっているものの状況的には、まだ落ち着いています。私の勤務先のある大阪府では、第49週は、微減となっており、今後の動向が気がかりです。また、勤務先でのコロナ入院は、何日間かに1人程度と言った感じです。大きな流行となってはいませんが、例年通り、注意が必要な時期にきています」としています。
■新型コロナウイルス感染症とは?
新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫、またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。
■新たな変異株の割合が拡大【12月5日(12時時点)】
国立感染症研究所感染症疫学センターが発表した第46週(11/11-17)のゲノム解析データによると、検出されたウイルスはKP.3系統が57.1%。変異株XECの割合は、42.9%となっており、変異株の割合が増加しています。
■冬場は部屋の換気を忘れずに!
新型コロナウイルス感染症とともに、インフルエンザも流行拡大の兆しがあります。予防の一つとして、部屋の換気があります。寒くなりましたが、定期的に部屋の空気を入れ替えるよう心がけましょう。
引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第49週
国立感染症研究所感染症疫学センター:新型コロナウイルス感染症ゲノム解析データ
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏