マスク着用、換気で感染予防対策 マスク着用、換気で感染予防対策
国立感染症研究所の2024年第46週(11/11-11/17)速報データによると、マイコプラズマ肺炎の定点あたり報告数は2.84。今年の第43週の2.49をピークに減少を見せていましたが、一転、過去最多を更新しました。都道府県別にみると、福井県(8.83)・北海道(4.59)・茨城県(4.92)・埼玉県(4.33)・東京都(4.32)・愛知県(4.33)・京都府(4.71)・奈良県(4.17)で多くの報告があがっています。この定点当たりの報告数は、全国約500か所の機関定点病院機関(小児科及び内科医療を提供する300床以上の病院)からの報告をまとめたもので、実際にはかなり多くの人が感染・発症している可能性があります。

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感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長の安井良則医師は、「マイコプラズマ肺炎の患者報告数が、再度、増加しています。いったんのピークをつけた第43週から、2週連続で減少していたので、その傾向が続いていくと考えていました。しかし、第46週に、一転、過去最多を更新したことで、まだ、しばらくは注視を継続したいと考えています。私の勤務先のある大阪府のデータでは、3.17と低くない数字です。しかし、以前と比べ、入院患者数が増えている実感はありません。しばらく、患者数の動向には注視が必要ですが、間もなく減少すると予測しています」としています。

治療には抗菌薬(抗生物質)を使用、ただし従来の薬が効かない場合も

治療には基本的にはマクロライド系の抗菌薬が処方されます。しかし近年、このマクロライド系の抗菌薬が効かない「耐性菌」が増えてきているとされています。
安井医師は、「去年中国でマイコプラズマ肺炎が大きな流行となりましたが、マクロライド系の抗菌薬に対して耐性を示すものの割合が高かったという報告があります。抗菌薬は他にもいくつかの種類があるのですが、子どもに対しては副作用があるものがあり、使用できる薬が制限されるということがあります。一方大人に対しては使用できるので、症状が悪化する前に医療機関を受診することが重要だと思います」と話しています。

マイコプラズマ肺炎に関する学会からの提言

10月24日、厚生労働省は、日本呼吸器学会など5学会の合同で出された「マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)急増にあたり、その対策について」という提言の周知を各都道府県などに伝えました。その中で予防と 治療について触れています。
・感染しないようにするためには
新型コロナウイルス感染症と同様に、飛沫感染しますので、マスク着用、換気などの感染予防対策を行いましょう。併せて、石けんによる手洗いやアルコールによる手指衛生も併せて行いましょう。
・感染が疑わしい、あるいは感染した場合
マイコプラズマ感染症は感染症法上で5類感染症と定められており、毎週の全国の流行状況が把握されています。現在のように、流行期にある場合、風邪のような症状、せきがある、周囲に同様の症状の方がいる、という場合は、マイコプラズマに感染している可能性があるため、近くの医療機関を受診してください。なお、現在、新型コロナウイルス感染症も流行しています。医療機関を受診する際は、医療機関に連絡をいれて受診することをお勧めします。受診後に本感染症の診断がなされ、抗菌薬で治療を行われた場合、一般的には2〜3日で解熱することがほとんどですが、解熱しない、せき、そのほかの症状が悪化する場合は、再度、医療機関にご相談ください。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2024年第44週
厚生労働省:マイコプラズマ肺炎に関するQ&A(平成23年12月作成、平成24年10月改訂)、令和6年10月24日事務連絡「マイコプラズマ肺炎増加に関する学会からの提言について(周知)」

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏