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 秋から冬にかけて流行する感染性胃腸炎の多くは、ノロウイルスなどのウイルスが原因とされています。ノロウイルスは感染力が強く、少量のウイルスでも人に感染し発病します。

 国立感染症研究所がまとめた第45週(11/8~14)の感染症胃腸炎の定点当たり報告数は、熊本県(7.12人)、大分県(6.56人)、鳥取県(6.16人)で、局地的に流行のきざしをみせ始めています。

 厚生労働省は、乳幼児期の特性を踏まえた保育所における感染症対策の基本を示すものとして、「保育所における感染症対策ガイドライン」2018年に発表しています。

 乳幼児のお子さんのいらっしゃる方が気になる、保育所などへの登園の目安と症状が記載されています。今回はノロウイルス感染症についてです。

症状および特徴

 流行性おう吐下痢症の原因となる感染症です。主な症状はおう吐と下痢であり、脱水を合併することがあります。乳幼児のみならず、学童、成人にも多くみられ、再感染もまれではありません。多くは1~3日で治癒します。

感染経路

 主な感染経路は、経口感染、飛沫感染及び接触感染です。

 汚物処理が不十分な場合、容易に集団感染を引き起こします。ウイルスに感染している調理者を介して食品が汚染されたことによる食中毒が多く起きていますので、要注意です。

 感染者の便には、多くのウイルスが排出され、おう吐物の中にも多量のウイルスが含まれています。感染力が強く、乾燥してエアロゾル化したおう吐物を介して、空気感染(飛沫核感染)することもあります。

流行状況

 一年を通じて発生しますが、特に秋から冬にかけて流行します。感染力が強く、100 個以下という少量のウイルスでも、人に感染し発病します。患者のおう吐物や糞便には1グラムあたり100 万~10 億個ものウイルスが含まれていると言われています。

予防・治療方法

 ワクチンの開発は行われていますが、現在使用可能なものはありません。経口感染、接触感染、空気感染(飛沫核感染)により感染するため、手洗いの励行等の一般的な予防法を実施しましょう。また、おう吐物等に迅速かつ適切に対応することが大切です。特異的な治療法はなく、下痢や腹痛、脱水に対して水分補給、補液等を行います。

感染拡大防止のために留意すべきこと

 ノロウイルス感染症は、ウイルスが含まれた水や食物、手を介して感染します。また、処理をしていないおう吐物等が乾燥して空気中に舞い上がり感染することもあるため、手洗いの励行などの一般的な予防法を徹底しましょう。下痢・おう吐がみられた時は、迅速かつ適切に予防のための対応をとることが大切です。

 また、加熱が必要な食品を取り扱う際には十分に加熱し、食品を調理した調理器具で、生食の食品を扱わないなどの注意を徹底することが重要です。

登園の目安

 流行期には、前日におう吐していた子どもの登園は控えましょう。

 登園の目安は、「おう吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること」です。ただし、登園を再開した後も、ウイルスは便中に3週間以上排出されることがあるため、排便後やおむつ交換後の手洗いを徹底しましょう。

基本的な感染対策を

 ノロウイルス感染症の感染経路としては、保育園や学校、ご高齢者の方々の施設等で爆発的に集団感染する場合、人から人への接触感染で広がっていることが大半であると考えられます。

 厚生労働省によると、手洗いは、手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。

 ノロウイルスに効果的な手洗いの方法として、「調理を行う前、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後には、必ず行いましょう。常に爪を短く切って、指輪等をはずし、石けんを十分泡立て、ブラシなどを使用して手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオル又はペーパータオルで拭きます。

 石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。

 消毒用エタノールによる手指消毒については、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりませんが、すぐに石けんによる手洗いが出来ないような場合、あくまで一般的な感染症対策の観点から手洗いの補助として用いてください」としています。

引用:厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
「ノロウイルスに関するQ&A」
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏