半年以上前に更新された記事です。

 今回取材したのは19歳の大学生の女性です。

 女性は、大学で実施された職域接種でモデルナワクチンを6月に接種。

 留学を考えていることもあり、決意したとのことです。

 一方、両親の中で意見が分かれていたことなどで、接種については、最後まで悩んだと言います。

 また、学内での「接種は当然」との風潮にストレスを感じたとのことです。

 10代がワクチンについて、どのように考えているのか取材しました。

高校三年生、大学受験前にコロナ禍となり…

 新型コロナウイルス感染症が流行し始めたのは、高校生の頃でした。

 大学受験の時期が迫ってきたころから、高校は慣れないリモート授業。

 センター試験から、共通テストに変わるときだったので、大学受験に不安があったことを覚えています。

 スポーツが活発な高校に通っていましたが、部活動が休止になり、全国大会に出場できない人もいて、少しかわいそうでした。

 先生方からコロナ禍で、地元志向が強いという事を聞いて、進路を悩む子は多くいました。結局、地元というケースは私を含め、例年よりも多いと思います。

 高校生ながら、コロナで人生が変わることもあるのだなと感じました。

 大学入学後も、リモート授業などで、キャンパスに通学できない時期もあり、面識ができていないクラスメイトも、何人かいます。

 そのような状況の中で、ワクチンが開発されたと言うニュースを耳にしたときは、「これで、自由に人に会える」と言う思いがあった一方で、「本当に接種して大丈夫なの?」と言う疑問が、ふつふつと湧いてきました。

 高齢者の接種などが始まる頃から、ワクチンについての情報をWEBサイトをはじめ、様々なメディアで情報を集めましたが、情報があふれており、結果として何が正しいのか分からなくなりました。

 家族内でも、父はワクチンに賛成派。母は反対派でした。

 父は、「打てる時に打っておいた方がいい」。

 母は「せめて、自分達が接種してから娘に検討して欲しい」との理由です。

 母は、私と体質が似ていることもあり、気になったようです。

 「海外のワクチンが日本人の体質に合うかわからない。国産ワクチンを打ちたい」とも言っていました。

大学内での様子

 学内も「ワクチン接種が当然」のような風潮がありました。

 昼休憩中の学内放送では、「個人でじゅうぶんに考えた上で」と前置きはあったものの、ワクチン接種を呼び掛けるアナウンスが流れていました。

 学内の接種率が、思ったように進んでいないためか、講義時間を使ってのワクチンに関する説明の時間もありました。

 「個人の判断」と言われていましたが、科目によっては、ワクチン接種や陰性証明を提示しなければ、受けられないものもありました。

 学内がこのような状態だったので、ストレスを感じる学生も一定数いました。

 大学からの無言の圧力を感じて、「ワクチンを接種したくない人」の気持ちも、なんとなく分かります。

悩んだ末に接種を決意

 私は、留学を希望していたことや海外旅行に行きたかったので、

 いずれ、海外渡航するために「接種証明」のようなモノが必要になると思い、悩んだ末に接種を決意しました。

 私は仲がいい友人たちの中で一番遅く打ちました。本来なら金曜日に打つところを翌週の火曜日に変更して接種しました。

 それだけ悩みましたし、怖かったです。周囲も悩んだ末に、結局打った人が多かったです。

 大学から「学科で受けられるのはこの時間」など決められていたので、じゅうぶんに考える時間がないままに接種することになってしまいました。

 もう少し考える時間が欲しかったです。

 1度目の接種は、6月末。2度目は8月に接種しましたが、発熱などはありませんでした。

 一方で、筋肉痛はあり、2度目の接種時には、接種時に配布されたロキソニンを服用しました。

 若い人には、副反応が現れやすいとのことですが、構えていたほどでは無いと言う印象でした。

 ワクチンを打ったことで、重症化しない安心感から外出に対して、恐れを感じなくなったことはよかったです。

 しかし、接種の判断を考える時間が、もう少しほしかったと思います。

不安なのは

 追加接種の話が出ていることもあり、大学の友人ともワクチンに関して話す機会も多いです。

 しかし、ワクチン接種をしていない友人たちの意見は、「デマも含めた情報があふれており、何が正しいのか分からない」や、「接種後の副反応が怖い」、「聞いたことがない新しい(mRNA)ワクチンを接種するのが怖い」など様々です。

 私が、何より不安なのは「何かあれば国が補償してくれる」との話でしたが、「因果関係が不明」との結論が多く、何か起こっても対応されないのではないかと、国の対応にいい印象は持っていません。

 今後、長期的に影響があった場合に、きちんと補償されるのでしょうか。

 若い人の多くは、不安に思っています。

厚生労働省によると

 厚生労働省は、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンについて、「数分から数日といった時間の経過とともに分解されていき、人の遺伝情報(DNA)に組みこまれるものではありません」としています。

 (※以下、厚生労働省ホームページより抜粋)

 身体の中で、人の遺伝情報(DNA)からmRNAがつくられる仕組みがありますが、情報の流れは一方通行で、逆にmRNAからはDNAはつくられません。

 こうしたことから、mRNAを注射することで、その情報が長期に残ったり、精子や卵子の遺伝情報に取り込まれることはないと考えられています。

 このような一般的な科学的な知見だけでなく、薬事承認に当たっては、動物試験や臨床試験の結果に基づいて安全性を評価し、審査を行っていきます。

 また、副反応による健康被害が、予防接種によるものであると厚生労働大臣が認定したときは、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられるとしています。

 (※以下、厚生労働省ホームページより抜粋)

 一般的に、ワクチン接種では、一時的な発熱や接種部位の腫れ・痛みなどの、比較的よく起こる副反応以外にも、副反応による健康被害(病気になったり障害が残ったりすること)が生じることがあります。

 極めて稀ではあるもののなくすことができないことから、救済制度が設けられています。

 救済制度では、予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり、障害が残ったりした場合に、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます。

 認定にあたっては、予防接種・感染症・医療・法律の専門家により構成される国の審査会で、因果関係を判断する審査が行われます。

 新型コロナワクチンの接種についても、健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく救済を受けることができます。

 なお、健康被害救済の給付額は、定期接種のA類疾病と同じ水準です。

<おことわり>ご紹介する経験談は、あくまでも個人の症状や意見です。

◇感染症予防接種ナビでは、新型コロナウイルスに感染した方や新型コロナワクチンを接種した方からの経験談を募集しています。

引用:厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」
文:感染症ニュース取材班