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家庭でできる食中毒予防の6つのポイント(厚生労働省HPより) 家庭でできる食中毒予防の6つのポイント(厚生労働省HPより)
 夏季はカンピロバクターなど細菌性の食中毒に注意が必要です。

 高温多湿となるこの時期は、細菌性食中毒が発生する条件に適しており、「食中毒警報」を発令し、注意を呼びかけている自治体もあります。また、厚生労働省は食中毒を予防するための対策について、食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつける」の3原則をあげています。

 「感染症・予防接種ナビ」にも多くの方から、カンピロバクターに感染した経験談が寄せられています。外食で食べた「焼き鳥」や、自宅で調理した鶏肉など、いずれも加熱不足が原因と思われます。

経験談① 香川県 まるまげどんさん(18歳) 感染経路(推測):大衆居酒屋で食べた焼き鳥

 ※2019年2月の経験談です。

 大学受験後の夜ご飯に、父親と大衆居酒屋に行き、焼き鳥を食べました。

 翌日の明け方から酷い頭痛と吐き気と発熱に見舞われて、その日の予定をキャンセルして地元に帰りました。途中では、下痢と嘔吐を繰り返しました。地元へ着くと、直ぐに病院へ行き、インフルエンザの検査と便の検査をしました。その日の夜は体の震えが止まらず、体温計も振り切れており、40度以上という事しか分かりませんでしたが、私の使っていた布団が汗でずっしりと重くなっていると母から聞きました。この時くらいになると、何も食べてなかったので吐くことはなかったですが、それでも下痢は続いていました。

 翌日、検査結果が出てカンピロバクターということで、近くの大きな病院に入院しました。それから、点滴をうけて熱や頭痛が落ち着きました。食べ物を口にしていないので便があまり出ませんでしたが、出る便は緑色になっていました。

 私はカンピロバクターでも、かなり強めに反応が出ていたようなので、病院に入院するまではとにかく頭痛・下痢・吐き気・発熱が酷く、地獄のような耐え難い苦しみが2日程続きました。この日を機に、外食で焼き鳥屋を避けるようになりましたし、家庭で鶏肉の調理をする際は、かなり火を通して食べるようにしています。

経験談② 東京都 再加熱を怠った結果さん(25歳) 感染経路(推測):家庭調理した蒸し鶏

 7/18(日):スーパーで買った鶏胸肉を蒸す。切ってみると一部赤い部分があったが再加熱は面倒くさくて、赤い部分を避けて食べた。

 7/21(水):午後から夕方にかけて熱が急上昇し、最高で40.1度。コロナを疑い、近所の内科で抗原検査とPCR検査を受ける。抗原検査は陰性。PCRの結果は土曜日になるとのこと(結果陰性だった)。漢方薬と解熱剤(カロナール)を処方してもらい様子を見ることに。夜から腹痛から便意をもよおすようになる。便は少し緩い程度だった。

 7/22(木):朝の体温は39.2度、午後には再び40度に到達。下痢の症状も現れ、食べたものがそのまま出ている。異様に便が臭い。1時間に1回くらいトイレ行っていた。夜になり、40度以上の熱が4時間以上続き、一人で夜を超えられる自信がなかったので救急車を呼んだ。より強い解熱剤をもらって帰る。待っているときも発熱のだるさ・寒気、下痢と闘っていた。

 7/23(金):解熱剤が効いているのか、夜には37度まで熱が落ちついてきた。しかし、この頃から腹痛と下痢の症状が強くなってくる。今までより高頻度の腹痛と下痢。腹痛は定期的に来る。食べたものがそのまま出ている。便の色がカラフルで笑った。普通の時もあるし、食べたものの色だったり、黒緑色だったり。

 7/24(土):熱は平熱に戻るも腹痛と下痢は治らず、午前中に別の内科を受診。食中毒か胃腸炎を疑われ、「最近、生ものとか食べた?」と聞かれたが心当たりがない。とりあえず整腸剤と抗生剤をもらって帰る。熱はないけど体が全体的に怠い感じ。10分に1回はトイレに行っていた。酷い時はトイレから出て、横になって1分後にトイレに駆け込んだ。薬を飲むためにお粥を食べたら、「お腹が痛くなりトイレへ行く→食べる→お腹が痛い」を繰り返していた。

 7/25(日):トイレに行った回数は15回くらいで前日に比べれば、かなり減った。でも便の中身や色は変わらない。お腹は空くけど、お腹痛くなるのが怖くてあまり食べられない。

 7/26(月):薬が効いているのか、腹痛の頻度が明らかに減った。トイレに行ったのは6、7回。しかも便が形になって出てくるようになってきた。ただ、色はまだ黒緑色だったりする。前に比べればかなり食べられるし、お腹も反応しなかった。
食中毒ってこんなにも辛いものなのかと、身を持って感じました...。これから気をつけます。

カンピロバクターに感染しないために

 カンピロバクターは牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中にいる細菌で、この細菌が付着した肉を生で食べたり、加熱不十分の状態で食べることによって、食中毒を発症します。家庭で調理する時はもちろん、飲食店で提供されるからといって安心してはいけません。特に鶏肉の生焼けや生食は避け、じゅうぶんに加熱されたものを食べましょう。

 市販の鶏肉からも、カンピロバクターが高い割合(厚生労働省によると20~100%)で検出されることがわかっています。家庭で調理する際は、中心部を75℃で1分以上加熱することを目安に、表面だけでなく、中心まで完全に白くなっていることを確認してから食べるようにしましょう。一部分でも赤みが残っている場合は、必ず再加熱し、そのまま食べるようなことは決してしないでください。また、調理前は必ず手を洗い、サラダなど生で食べる食材とは別に調理するなど、二次汚染を防止しましょう。

<おことわり>ご紹介する経験談は、あくまでも投稿者個人の症状や意見です。

感染症・予防接種ナビでは、みなさまからの感染症経験談を募集しています
引用:厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」「食中毒予防のポイント、食中毒予防の原則と6つのポイント」
文:感染症ニュース取材班