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RSウイルス感染症の患者報告数の推移 RSウイルス感染症の患者報告数の推移
 RSウイルス感染症の定点当たりの患者報告数の伸びが止まりません。

 東京都や神奈川県など、首都圏での報告数増加も歯止めがかからない一因となっています。

国内の流行状況

 国立感染症研究所によると、2021年第26週(6/28~7/4)の定点当たりの患者報告数は4.13人です。昨年同時期(2020年第26週)の患者報告数が、0.01人であったことからみても、今年の感染状況は例年にない動きで推移していることが分かります。地域別にみると、患者報告数が最も多いのは三重県(16.0人)で、次いで福井県(12.3人)、和歌山県(10.37人)、宮城県(10.34人)など、いずれも高い水準です。

 今後、東日本を中心に流行が続くと予測されます。東京都・神奈川県での流行は、時間とともに千葉県や埼玉県に広がる恐れもあり、注意が必要です。また西日本の一部においても感染がおさまっていない地域もあります。患者発生動向に注視してください。

症状

 RSウイルスに感染すると、発熱や咳などの症状が現れます。特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)に初めて感染すると、重症化することもあります。2歳までにほぼ100%のお子さんが初感染を受けるといわれていますが、昨年は新型コロナウイルスの影響からか、大きな流行がみられませんでした。したがって、2歳以上であっても初めて感染するお子さんもいらっしゃいます。乳幼児を持つご家族は、お子さんの健康状態に変化を感じたら、早めにかかりつけ医などに相談しましょう。

速やかにかかりつけ医へ行く症状

 息がゼイゼイと呼吸が苦しそうになる。咳で何回も夜中に起きる。熱が下がっても症状が改善されない。咳込んで嘔吐してしまう。生後1か月未満でも感染する可能性があり、無呼吸の原因になることがある。※悪化するときには、発熱はあまり関係ありません。

三重県知事が異例の呼びかけ

 三重県は、2021年第26週の定点当たりの患者報告数が、全国で最多となっています。三重県感染症対策課は、県の感染症情報センターのホームページを通じ、「感染者の咳などの飛沫や呼吸器からの分泌物で汚れた手や物を介して経口的に感染する」と感染経路を具体的に挙げ、手指衛生を徹底するよう注意を呼び掛けています。また、三重県の鈴木英敬知事も7月7日に行われた定例会見で、感染拡大について注意を呼びかけるなど、異例の事態となっています。

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取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
 三重県感染症対策課