【感染症ニュース】京都でユッケを食べた90代の女性が腸管出血性大腸菌感染症で死亡O157に感染しないためには?

2022年9月16日更新

加熱が不十分の牛肉で感染 加熱が不十分の牛肉で感染
2022年9月15日、京都府宇治市の精肉店が販売したユッケを食べた90代の女性が、食中毒と見られる症状で死亡しました。

女性からは腸管出血性大腸菌「O157」が検出されたということです。

感染症発生動向調査週報(速報)によると、第35週(8/29~9/4)の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は117件。

今年に入って2000件以上の報告がありました。

重症化のおそれもある腸管出血性大腸菌感染症にかからないためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。

腸管出血性大腸菌感染症とは?
腸管出血性大腸菌感染症は、ベロ毒素を産出する大腸菌が原因の感染症です。

ベロ毒素は毒性が強く、激しい腹痛、水溶性の下痢、血便などの症状を引き起こします。

特に子どもや老人においては、溶血性尿毒症や脳症(けいれんや意識障害など)を起こしやすいので注意が必要です。

腸管出血性大腸菌には今回のO157の他にも、O26、O111、O128、O145などがあります。

感染症の専門医は・・・
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、腸管出血性大腸菌感染症のこわさについて、このように話しています。

「腸管出血性大腸菌のベロ毒素は、全身の血管に重大なダメージを与えます。症状としては脳症や急性腎不全が知られていますが、透析が必要となる場合もあるので、注意が必要です。さまざまな原因がありますが、重要なのは生の肉を食べないことです。気温の低い時期でも発生は見られますが、例年夏から秋にかけて発症者が多いので、引き続き感染予防を心がけていただきたいです」

腸管出血性大腸菌はどこからうつるの?
腸管出血性大腸菌は、牛などの家畜などで時々見つかります。

家畜は症状が出さないことが多く、加工した食肉などからヒトに感染します。

食中毒の事例では、焼肉店などの飲食店や食肉販売業社が提供した食肉を、生や加熱不足で食べることで感染する事例が多くなっています。

また、生野菜や井戸水などから感染することもあります。

保菌している動物に触れることでうつることもあり、ふれあい動物園などでウシやヤギ、ヒツジなどから感染するケースもあります。

ヒトを発症させる菌数はわずか50個程度と考えられており、感染したヒトから他のヒトへの二次感染も多く見られます。

腸管出血性大腸菌感染症の予防
腸管出血性大腸菌は、加熱や消毒薬により死滅します。

ですので、通常の食中毒対策を確実に実施することで予防は可能です。

調理については、十分に加熱を行うことが重要です。ステーキなどのかたまり肉は、肉の中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することによって、菌は死滅します。

また、調理の際には、菌がうつる場合があるので、肉と野菜を一緒に扱わない、生肉を調理した後はまな板、包丁などを熱湯などでしっかりと消毒するなどの対策が必要です。

調理後は放置しておくと再び菌が増殖する可能性があるので、なるべく早く食べ、食べ切ることが重要です。

ヒトからヒトへの二次感染は、感染者の便に含まれる菌が他のヒトの口から入る糞口感染によって起こります。

予防には手洗いが最も有効で、排便後や食事前はもちろんのこと、特に下痢をしている乳幼児や高齢者の世話をしたときには、石けんと流水でよく手を洗うことが重要です。

食中毒予防の3原則
秋から冬にかけては、ノロウイルスなどを原因とする感染性胃腸炎が流行します。

感染性胃腸炎も腸管出血性大腸菌感染症と同じく、食品や感染者から広がる食中毒です。

食品により殺菌に必要な温度や時間は違いますが、予防の基本となるのは、原因となる菌やウイルスを「付けない、増やさない、やっつける」ことです。

食中毒は暑い季節のものというイメージがありますが、年間を通じて発生する可能性があるので、日々注意しましょう。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2022年第35週、腸管出血性大腸菌感染症とは?
厚生労働省 腸管出血性大腸菌Q&A

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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