【感染症ニュース】80代男性が死亡 治療薬なし マダニ媒介の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」とは ペットとの過剰なふれあいにも注意

2022年6月30日更新

マダニに注意 マダニに注意
広島県で、マダニによるとみられる「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症した男性の死亡例が報告されています。

亡くなったのは、80代男性ですが、国内では、30-40代での発症例も報告されています。

また、ペットに咬まれたことにより、感染した事例もあり、注意が必要です。

広島県呉市で80代男性が死亡
呉市によると、2022年5月、呉市内に住む80代の男性が「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症。

発熱・嘔吐・下痢・血小板減少の症状があり、5月30日に入院し、6月4日に死亡しました。

男性の入院後、広島県が検体を検査。SFTSウイルスへの感染を確認しています。

男性は、発症前に農作業をしていたことが確認されています。

重症熱性血小板減少症候群は、SFTSウイルスと呼ばれる病原体を持ったマダニに咬まれることで、感染し、発症することが主な原因です。

呉市福祉保健部は、男性はマダニに咬まれたとみて、注意を呼び掛けています。

感染症の専門医は
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「ダニ類が媒介する感染症は、『日本紅斑熱』『ツツガムシ病』と『SFTS』の3つが代表例に挙げられます。『日本紅斑熱』『ツツガムシ病』は、リケッチアと呼ばれる病原体に感染することにより発症しますが、治療には、テトラサイクリン系の抗菌薬が効果があるとされています。一方で、『SFTS』は、ウイルス感染で、発熱・頭痛・血小板減少などの症状がみられますが、治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはありません。キャンプ・農作業などで、ダニ類が生息している、野山に入った後に、発熱などの症状があった場合は、ダニに咬まれた跡(刺し口)が無いか確認し、医療機関を受診してください。」としています。

高齢者だけでなく、若い人も注意
重症熱性血小板減少症候群の発症報告は、免疫力が低下した高齢者が多いですが、30-40代など若い世代の報告もあります。

年齢に関係なく、感染・発症する可能性があり、注意が必要です。

不安に思ったら…
マダニは、春から秋に活動が盛んになります。

吸血中のマダニに気がついた際、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残り、化膿する可能性があります。

無理に引きはがそうとせず、医療機関(皮膚科など)で処置をしてもらってください。

また、マダニに咬まれた後に発熱等の症状があった場合は、医療機関を受診するようにしましょう。

重症熱性血小板減少症候群とは
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、主にSFTSウイルスと呼ばれる病原体を持ったマダニに咬まれることなどにより感染し、発症する場合があります。

通常、人から人へ感染することはないとされていますが、国立感染症研究所は、「血液等の患者体液との接触により人から人への感染も報告されている」としており注意が必要です。

マダニに咬まれたのち、6日から2週間の潜伏期間を経て、主に発熱・消化器症状・頭痛・筋肉痛・神経症状・リンパ節腫脹・呼吸器症状・出血症状が出現します。

重症化例の報告も少なくありません。

有効な薬剤やワクチンは無く、治療は対症的な方法のみとなっています。

これまで、広島・山口・宮崎・鹿児島など西日本での発生例が多くありましたが、千葉・愛知など東日本でも発生が確認されています。

マダニ
感染症を媒介するマダニの動きは、春から秋に活発になります。

体長は3-4ミリほどで、人体に寄生し皮膚から吸血します。

数日間、吸血することで、3倍ほどに大きくなり、目視で見つかるケースもあります。

また、刺し口に、かゆみや軽い痛みを感じることもあります。

マダニは、主に山や草むらなどの屋外に生息しています。

予防法
ウイルスを媒介するマダニに咬まれないようにすることです。

夏場は、アウトドアなどのレジャーや農作業など、屋外での活動が多くなります。

農作業をする場合やキャンプ場など屋外で活動する場合には、長袖・長ズボン・足を覆う靴・帽子・手袋の着用・首にタオルを巻くなど肌を露出しない服装を心掛けてください。

また、屋外活動後は、シャワーや入浴、着替えを行うことも大切です。

マダニに咬まれて、発熱などの症状が出た場合は、医療機関を受診するようにしましょう。

ネコなどのペットからの感染例も
厚生労働省によると、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、発熱・衰弱等に加え血小板減少等の所見が見られたペットのイヌ・ネコの血液・糞便から SFTS ウイルスが検出された事例や体調不良のネコからの咬傷歴があるヒトが SFTS を発症し死亡した事例が確認されたとのことです。

ペットを飼育している方は、過剰な触れ合い(口移しでエサを与えたり、動物を布団に入れて寝ることなど)は避けてください。

動物と接触した後は、手指衛生を徹底しましょう。

引用:国立感染症研究所「重症熱性血小板減少症候群とは」
「ペットからSFTSウイルスに感染し、SFTSを発症した事例報告」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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