【10月に注意してほしい感染症】No1・RSウイルス感染症/No2・溶連菌感染症/要注意・風しん、先天性風しん症候群/要注意・梅毒

2018年9月28日更新

10月に注意してほしい感染症ニュース

【No1】RSウイルス感染症…患者報告数の増加が続いています。10月に入っても患者数が多い状態が継続するものと予想されます。特に乳幼児の育児に係わる方は、注意が必要です。

【No2】溶連菌感染症…12月のピークに向かって患者報告数が増加していくことが予想されます。今後とも溶連菌感染症の患者数の推移には注意が必要です。

【要注意】風しん、先天性風しん症候群…国立感染症研究所によると、2018年の風しんの患者報告数は、9月16日(第37週)までに642人となり、2008年の全数届出開始以降では、201発生3年、2012年に次いで3番目に多い報告数となりました。現在首都圏を中心に患者発生がみられていますが、今後は、全国的に患者発生がみられる可能性があり、風しんの患者数の動向には注意が必要です。9月26日、国立感染症研究所感染症疫学センターは、「風疹急増に関する緊急情報:2018年9月19日現在」を公開し、風しん及び先天性風しん症候群に対する注意を呼びかけています。

【要注意】梅毒…2010年〜2017年までの7年間で患者報告数が9倍に増加しています。2018年は、9月16日(第37週)までに4,810人(暫定値)となっており、このままでは、昨年2017年の患者報告数5,770人をさらに大きく上回る可能性があります。特に注意しなければならないのは若年層です。特に20代の女性の患者数の急増がみられており、このままでは、先天梅毒(※)の増加が危惧されます。※先天梅毒:妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります。

感染症ごとに、更に詳しくみていきましょう。


RSウイルス感染症
患者報告数の増加が続いています。10月に入っても患者数が多い状態が継続するものと予想されます。特に乳幼児の育児に係わる方は、注意が必要です。

RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスが伝播することによっておこる呼吸器感染症です。潜伏期間は2〜8日、一般的には4〜6日で発症します。多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなったり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。

生後6か月未満の乳児で特に注意してほしい症状として、粘っこい鼻水による鼻づまりの症状が非常に強くなることがあります。3か月未満の乳児は、口呼吸ができていません。鼻で呼吸をしているために、粘っこい鼻水が詰まっただけでも苦しくなります。そして更に、ミルクやおっぱいを飲む時に口もふさがってしまうと呼吸がしにくい状態となります。保護者の方は、乳児がおっぱいの飲みが悪くなったなどの変化を注意深く観察しましょう。

RSウイルス感染症の予防法は、手洗い、咳エチケットなどが有効ですが、乳幼児自身が予防することは難しいです。そのため、咳などの症状がある年長児や大人には、0歳児、1歳児のお世話は薦められません。しかしながら、お世話をしなければならないときは、手洗いやマスクの装着などで乳幼児に感染させないように気をつけましょう。

RSウイルス感染症

溶連菌感染症
12月のピークに向かって患者報告数が増加していくことが予想されます。今後とも溶連菌感染症の患者数の推移には注意が必要です。

溶連菌感染症の症状が疑われる場合は、速やかにかかりつけ医を受診しましょう。溶連菌感染症と診断され、抗菌薬が処方された場合は、医師の指示に従うことが重要です。途中で抗菌薬をやめた場合、病気の再燃や糸球体腎炎などの合併症を来すことが知られています。

溶連菌感染症は、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な症状が現れることは少ないといわれています。症状としては2〜5日の潜伏期間を経て、38度以上の発熱と全身倦怠感、のどの痛みによって発症し、しばしばおう吐を伴います。

また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発しんが広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。また、十分な抗菌薬の投与による治療をおこなわないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などを引き起こすことが知られています。

主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)由来の飛沫による飛沫感染と濃厚な直接接触による接触感染です。物品を介した間接接触による感染は稀とされていますが、患者もしくは保菌者由来の口腔もしくは鼻腔由来の体液が明らかに付着している物品では注意が必要です。発症者に対しては、適切な抗菌薬による治療が開始されてから48時間が経過するまでは学校、幼稚園、保育園での集団生活は許可すべきではないとされています。

溶連菌感染症

風しん、先天性風しん症候群
国立感染症研究所によると、2018年の風しんの患者報告数は、9月16日(第37週)までに642人となり、2008年の全数届出開始以降では、2013年、2012年に次いで3番目に多い報告数となりました。現在首都圏を中心に患者発生がみられていますが、今後は、全国的に患者発生がみられる可能性があり、風しんの患者数の発生動向には注意が必要です。9月26日、国立感染症研究所感染症疫学センターは、「風疹急増に関する緊急情報:2018年9月19日現在」を公開し、風しん及び先天性風しん症候群に対する注意を呼びかけています。

過去には2012年に2,386人、2013年に14,344人の患者が報告され、この流行に関連した先天性風しん症候群が45人確認されています。

妊娠20週頃までの女性が風しんウイルスに感染すると、胎児にも風しんウイルスが感染して、眼、耳、心臓に障害をもつ先天性風しん症候群の児が生まれる可能性があります。妊娠中は風しん含有ワクチンの接種は受けられず、受けた後は2か月間妊娠を避ける必要があることから、女性は妊娠前に2回の風しん含有ワクチンを受けておくこと及び妊婦の周囲の者に対するワクチン接種を行うことが重要です。また、30〜50代の男性で風しんに罹ったことがなく、風しん含有ワクチンを受けていないか、あるいは接種歴が不明の場合は、早めにMRワクチンを受けておくことが奨められます。風しんはワクチンで予防可能な感染症です。

先天性風しん症候群の発生を防ぐためには妊婦への感染を防止することが重要であり、妊娠出産年齢の女性及び妊婦の周囲の者のうち感受性者を減少させる必要があります。また、風しんの感染拡大を防止するためには、30〜50代の男性に蓄積した感受性者を減少させる必要があります。

風しん

梅毒
2010年〜2017年までの7年間で患者報告数が9倍に増加しています。2018年は、9月16日(第37週)までに4,810人(暫定値)となっており、このままでは、昨年2017年の患者報告数5,770人をさらに大きく上回る可能性があります。特に注意しなければならないのは若年層です。特に20代の女性の患者数の急増がみられており、このままでは、先天梅毒(※)の増加が危惧されます。※先天梅毒:妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります。

梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。感染すると全身に様々な症状が出ます。

早期の薬物治療で完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。

梅毒

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則

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